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マケイン:F-35購入機数を削減せよ! [亡国のF-35]

いよいよF-35機数削減が動き出したか!

McCain5.jpg20日、上院軍事委員会の委員長で国防問題の重鎮John McCain議員(共和党:アリゾナ州)は記者団に、米軍が購入するF-35機数を削減する必要があると語りました。

かねてより、大幅なコスト高騰と開発遅延が続く「史上最大の兵器開発F-35」を厳しく批判していた同議員ですが、削減に反対する勢力や様々な情勢を見極め、いよいよ本格的にF-35購入機数削減に動きだした模様です

なお、マケイン議員の地元アリゾナ州のLuke空軍基地は、F-35操縦者養成の「メッカ」と言われ、6個飛行隊144機を受け入れることになっています。当初は72機の計画でしたが、追加で倍の144機に膨れあがっています。

騒音問題はありますが、アリゾナの砂漠や山岳地帯に囲まれた地域で、F-35誘致には様々な利害や思惑も絡んおり、ロッキードは関連事業を全米に分散して議員抱き込みを図る中・・・そこには、色々ありそうな「魑魅魍魎(ちみもうりょう)」の世界が存在していますが、マケイン氏が「削減ののろし」を上げたのは確かです

21日付Defense-News記事によれば
McCain4.jpg●21日、記者団に対する短いコメントの中で、マケイン上院議員はF-35購入機数を削減しなければならないと述べた。現時点で米国防省は、海軍、海兵隊及び空軍を併せ、2443機の購入を計画している
●マケイン氏は「我々は購入を削減しなければならない」、「今国防省が言及している機数は、とても実現できる機数ではない」との表現で削減の必要性を語った

●米国防省や議会のF-35支持者は、継続して「2443機」に固執し、削減の話題が出ると直ちに「沈静化」に動いてきた。
●よって、マケイン議員は昔からF-35計画を批判してきたが、機数削減要求は、国防省内では関係者が過敏反応して「沈静化」する案件であった

F-35購入機数を巡る「議論の潮目」
しかし変化の兆しが見え始めている。今年7月、統合参謀本部議長への就任承認を得るため、Joseph Dunford大将が議会に提出したレポートで、「最新の戦略環境を踏まえ、2443機が適切な数字か分析している」と証言したことが大きな契機であった
●更に、米海軍人トップへの就任を控えたJohn Richardson大将も議会提出レポートで、「新統合参謀本部議長と共に、海軍が必要とする機数について再評価するため協力していく」と証言している

F-35 luke AFB.jpg●上記2名の証言を受け、米国防省のCook報道官は、「我々はそのような(調達機数見直し)目的のために、公式な再評価や再検討を行っていない」と語る一方で、「進行中の全ての装備品計画は、各年度の予算計画プロセスの中で再評価・検討される」、「予算を巡るワシントンDCでの情勢が大きな影響を与えることは明らかである」と対応していた
●マケイン議員の21日の発言は、この様な状況下、機数削減議論の扉を大きく広げたものと捕らえられている。

●また、19日投開票のカナダ総選挙で、F-35計画からの撤退を公約にしていたJustin Trudeau氏が率いる自由党が大勝して政権交代が起こったことも、新たな風となっている
カナダの購入予定機数は65機だったが、2010年以降、F-35機種選定過程が不透明だとして購入決定が凍結されていた。またカナダが撤退すれば、F-35共同開発国の初めての脱落となり、他の購入国への影響も懸念されている


関連情報です!!!
カナダ撤退でF-35コスト「1.2億円上昇」
21日付DODBuzz記事
F-35 luke AFB2.jpg●21日、米国防省F-35計画室長のBogdan中将は下院軍事委員会(小委員会)で、カナダがF-35調達を取りやめて61機の受注を失うことで、製造コストが「0.7~1%上昇し、1機当たり$1 million=1.2億円の増加になる」と証言した

●(関連部品の製造企業への影響について、)共同開発国が脱落することによる影響を把握しているわけではないが、残ったパートナー国と関連企業群で、カナダ企業が関連することになっている部品やパーツの扱いについて協議を開始することになると思う、と同室長は語った
●なお、ここでのパートナー国とは、Australia, Denmark, Israel, Italy, Japan, Netherlands, Norway, Turkey, Great Britain and South Koreaを指している
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過去1年間は、F-35計画にとって「安定に向かいつつある」事を「何が何でも」示そうと頑張った1年でした。確かに、色々な問題に対処が進んだ部分もありました。

F-35 3-type.jpgしかし繰り返し述べてきたように、表面をお化粧しても、実態のデタラメは隠せません
最近次々に明らかになる「開発と生産の同時進行による多額の手戻り改修費」、「整備兵站支援を支えるALISの役立たず問題」、「理想を遙かに超える急増産の弊害」、「未だ先が見えないソフト制作」、「射出座席に代表されるまだ試験が多数残置の恐怖」などなど・・

これら機体開発と製造部門の問題に加え、「購入機数減少→単価上昇→更に購入機数減少→単価高騰:特に日本等の後出し注文組へ」の負のスパイラルが待ち受けています。残念ながら「亡国のF-35」とのネーミングが当を得て来たようです

F-35購入機数を巡る「議論の潮目」
「Dunford大将が削減に言及」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-11
「米国防省は検討を否定も」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-26

マケイン議員の地元Luke基地はF-35教育のメッカ
「外国操縦者の訓練も開始」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-21
「米議員もF-35と馴れ合いか?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-10-08
「F-35を144機受け入れるLuke」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-07-05

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