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米空軍F-35担当幹部がALISへの不安を語る [亡国のF-35]

Harrigian F-35.jpg今週は米空軍協会総会(航空宇宙シンポジウム2015:14-16日)が開催され、米空軍関係者や軍需産業界から様々な発言があります。

そんな中で本日は、米空軍のF-35業務統括室長(integration office)Jeffrey Harrigian少将「最も懸念する事項」と言及する、ALIS(自動兵站情報システム:Autonomic Logistics Information System)について、同少将の発言をご紹介します

つい先日も、国防省F-35計画室長Bogdan中将の「我々の期待レベルに達していない」発言をご紹介し、春にはF-35訓練基地を訪問した国防議員団に現場整備員が「ALISの発する警報の8割が誤警報で使い物にならず、仕事が進まない」と訴える等々の事象を紹介してきましたが、空軍少将の口から現状を語って頂きましょう

14日付DODBuzz記事によれば
Harrigian-AFA.jpgALISは、F-35の機体が正常化を診断し、飛行可能かを知らせるデータベースを備えた情報システムである。また故障部位があれば、必要な部品が何で、何処にその部品が補完されているかを把握し、整備担当者に知らせ、部品の調達もサポートしてくれるシステムとして期待されている
●また兵站分野だけでなく、飛行訓練計画や任務飛行計画の作成を支援してくれるシステムとして、F-35導入決定時に「鳴り物入り」で宣伝された経緯がある

●14日、航空宇宙シンポジウム会場で記者団にブリーフィングを行い、Harrigian少将は来年8月1日に米空軍は12~14機の1個飛行隊(操縦者30名と整備員200名)が初期運用体制を確立する必要があり、その準備やその後に備え現在保有する74機と操縦者約200名、更に整備員2000名で準備を進めていると現状を説明した
●そして同少将はALISに関し、「ALISが最も懸念しているソフトである事を語らなければならない時期となった。たっぷり聞いてもらおう」と語り出した。

ALISとその他のソフト問題
Harrigian-AFA3.jpg●Harrigian室長はALISの現状について、「Lockheed Martinとソフトの不具合対処に取り組んでいるが、例えば、基本的な動作である入手部品をシステムに入力するのに、バーコード等が使えず、手動で入力しなければならない事態が生じるのだ」と述べ、
●「この様な問題対処に取り組んでおり、必要な部品が何処に有り、どのように入手するかを部品コードで処理出来るようにしたいのだが」と説明した

ALIS以外にも、例えば目標補足レーダーに関しては飛行試験中に判明した問題で、「目標を攻撃出来るかshoot cueが表示されるべきだが、複数の機体センサーから情報を取り込むF-35では、細部には言及出来ないが、時にレーダー表示装置上で上手く働かないことがある」とも語った
●別の前F-35Aテスト操縦者の大佐は、海兵隊用F-35Bでも似たような症状が発生しており、複数センサーの情報融合にソフト修正が必要になっていると語った。

米空軍F-35の運用態勢確立とは
(14日付Defense-Newsより)
F-35-Netherland.jpg●米空軍最初のF-35飛行隊は、「CAS:近接航空支援」と「航空侵攻阻止」と「SEAD:敵防空制圧」任務が可能な状態で活動を開始する、とHarrigian少将は説明した
●また同中将は、最初のIOCは何とか可能だろうが、その後の機体増加と運用増加を支え、戦闘コマンド司令官の要望に対応するのが大きな課題だとも語った

●また、世界中で運用が開始されるF-35の補給や大規模修理施設も今後の課題だと同室長は語った。「Global Sustainment System」を支えるため、現在米空軍を中心として世界17カ所の立地を精査評価しているところだとも語った
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F-35に関しては様々な報道がありますが、国防省や米軍関係者の「信頼できる」話を紹介しています。それでもこの酷さです。

米空軍協会AFA総会では、米空軍に関わる様々な話題が取り上げられ、いろんな論点が提示されるのでしょうが、「史上最大の兵器開発計画」であるF-35の動向以上にインパクトがある話題はありませんので、ご紹介しました。

予算の強制削減への対処、KC-46の飛行試験遅延、LRS-Bの機種選定と経費過小見積事案、新しい「future operating concept」の発表、ISR態勢と人材養成問題、核兵器運用部隊の士気と装備の低下、サイバーコマンド創設構想、次期練習機T-X選定の今後、振り上げた拳A-10全廃は何処へ、「性的襲撃:sexual assault」への対処、次期参謀総長を巡る噂対処、ロシアと中東IS対処への取り組み、電子戦への取り組み等々等々・・・話のネタは尽きないシンポジウムですが・・・・

関連の記事
「国防省F-35室長が今を語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-10-1
「ALISは8割が誤警報」 →http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-16-1

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