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飽和ミサイル攻撃対処と第2のAirLand Battle [米国防省高官]

米国防副長官が「同時大量ミサイル攻撃対処」や「第2のAirLand Battle」を語る要注目の講演

work RUSI.jpg10日、Work米国防副長官が英国王立防衛安全保障研究所(RUSI)で講演し、軍事技術面で優位差を維持拡大するための取り組み「第3のoffset strategy」の重点ポイントについて触れ、「human-machineコラボ」が鍵で、「大量の精密誘導兵器への同時対処」や「第2のAirLand Battle」検討が必要だと訴え、NATO諸国に協力を呼びかけました

「第3のoffset strategy」については、カーター国防長官がシリコンバレー等の企業を訪問し、民間最新技術の軍事への早期迅速な取込枠組み構築に尽力していますが、実現したい又は重視したい技術の方向について具体的に語られたのは初めてのような気がします

「AirLand Battle 2.0.」との表現が飛び出したのにもびっくり! 今後CSBAかCNASか、どこかから関連のレポートが出るのかもしれません。

10日付Defense-News記事によれば
work RUSI2.jpg●Work副長官は欧州の聴衆に対し、力を増す潜在的敵国に対処するため、「第3のoffset strategyは、human-machineによるコラボや戦闘チーム形成に基づくものになるだろう」と宣言した
●無人システムの高度化、特に自立学習能力の飛躍的向上により、人間の能力と組み合わせるとダイナミックな活用が期待できると述べ、「より小型のシステムが、柔軟で機動的で、決定力を持つ効果的なシステムになる」と語った

●「西側が過去25年間確保してきた技術優位の差、特に精密誘導兵器分野、は無くなりつつある」と「第3のoffset strategy」の必要性を訴え、「この挑戦に対応することが、我々の軍の任務だ」と訴えた
●「我々はhybrid warfareに直面し、その対処に新たな作戦コンセプトを必要としている。しかし現状を越える新たな手段を手にしていない。出来ること全てに取り組み、相手に好きなようにさせてはならない」とも表現した

●そして「第3のoffset strategy」について、技術と作戦コンセプトと組織的対処の新たな組み合わせで、弱体化しつつある通常抑止力の再強化を追求するものだと語った
●また英国の聴衆に向け、WW2時の英本土防空作戦を新技術と新運用コンセプト活用で勝ち抜いた、当時のHugh Dowding英空軍参謀総長の先見性を讃えた

具体的に主要課題2つへの対処を提議
Work-army2.jpg●副長官は対処すべき2つの課題を具体的に述べた。まず1つ目は、予期される敵による精密誘導兵器の大量同時発射への対策に、画期的な低コスト対処技術が必要だと訴えた。
●具体的には、「non-kineticなleft of launch(発射のない?)対処」と、エネルギー兵器や電磁レールガンや高エネルギー投射物を例示し、敵の大量ミサイル同時発射による飽和攻撃を跳ね返す方策として説明した

●更に副長官は、短射程精密誘導兵器やサイバーや電子戦が入り乱れる複雑で高度な戦場対処のため、米陸軍と米空軍には「AirLand Battle 2.0.」の様な新コンセプトが必要だと訴えNATO諸国にも新たで画期的な「Follow-on Forces Attack」コンセプトが必要だと語った

●米国防省は1973年に実施したような「LRRDPP:Long-Range Research and Development Planning Program」を実施し、技術動向や可能性を秘めた技術調査を行い、技術革新が期待できる民生技術やそのシーズを見極めたと副長官は語った
●「LRRDPPは、大きな部隊は攻撃を受けやすく脆弱なので、分散して小規模になりながらも、有機的に統一的に行動して戦闘能力を発揮可能な部隊が必要だとの結果を導いている」と説明した

●Work副長官は、NATO加盟国全てが力に応じて協力して取り組む必要があると述べ、英国等には高いレベルで米国との共同を望み、他の同盟国には新コンセプトの導入と低コストや非対称技術の導入による貢献を期待すると説明した
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Work-BBP2.jpg「第3のoffset strategy」と具体的作戦との関係について、これほど率直に語られたことはなかったような気がします。今後、様々なパーツ技術をフォローするに当たり、頭を整理するのに重要な講演です

「hybrid warfare」に対応する「AirLand Battle 2.0.」は、東欧に侵攻しかねないロシア軍を強く意識したものとも考えられますが、副長官が語る中身は西太平洋にも当然応用されるだろうと感じさせます。

「大量の弾道・巡航ミサイルの同時発射対処」と「エネルギー兵器や電磁レールガン」の関連説明は納得で、西太平洋地域では物資補給・兵站が困難な環境対処としても合理的です。
しかし「non-kineticなleft of launch(発射のない?)対処」はよく分かりません。局所的なEMP兵器?でしょうか。

以前副長官は「human-machineコラボ」について、「チェスでコンピュータがプロの人間を倒すことが最近あるが、人間とコンピュータのチームは無敵だ」とその重要性を語っています。
どのような形で「コラボ」を実現する事をイメージしているのか、この点も今後に注目です

RUSIの関連webページ(講演の映像有)
https://www.rusi.org/events/ref:E55DDDDAD46C28/#.Velsvc9wZ2Y

米国防省webの関連記事
http://www.defense.gov/News-Article-View/Article/616806/work-calls-for-third-offset-strategy-to-bolster-future-of-warfighting

関連の過去記事
「第3のOffset Strategy発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-06-1
「新技術導入に企業と同盟」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-31
「技術確保に新組織DIUx」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-25

「Three-Play Combatを前線で」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-09
「Better Buying Power 3.0」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-11
「トマホークの画期的改良」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-02-12

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