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戦訓を踏まえ改良のEA-18Gが豪州へ [安全保障全般]

米軍は「NIFC-CA」、豪軍は「Plan Jericho」、さて日本は?

EA-18G-Aust.jpg7月29日、センルイスにあるボーイングの工場で豪州へ輸出する12機の電子戦機EA-18G初号機のお披露目式が行われ、2011年リビア作戦の教訓を踏まえ、改良されていることが明らかになりました。ただしあくまでも豪州向け機体であって、米海軍がこの改良を採用するかは不確定です

豪空軍がEA-18Gを導入することにより、同軍が目指すネットワーク戦「Plan Jericho」に一歩近づき、式典出席の豪代表者は米海軍が取り組むNIFC-CAとの連携も否定しませんでした
日本が極めて「お寒い状態」にある電子戦分野に、準同盟国豪州が取り組む概要をご紹介します

29日付Defense-News記事は
●29日、ボーイングのセントルイス工場で豪州が発注した12機のEA-18G初号機の披露式が行われた。豪は12機を約2600億円で調達すると言われている
●2号機は8月に完成し、これら2機は既に米国内で操縦訓練を受けた豪空軍操縦者とともに、米国加州の米海軍基地等で豪州用ソフト確認を行い、2017年に豪州へ移送され、2018年に運用体制を確立する予定

EA-18G-aust2.jpg●式典に豪州代表として参加した前豪空軍司令官Geoff Brown退役大将は、豪空軍用のEA-18Gは2011年のリビア作戦の教訓を反映し、レイセオン社製の電子光学照準装置(Raytheon ASQ-228 ATFLIR targeting pod)を搭載して、地上目標をより精密に特定出来る様になったと語った
●このPODを搭載することで、地上から発射された電磁波源の位置を、大よそでなく光学照準で特定可能となり、ネットワークで結ばれた他アセットが搭載する攻撃兵器を直接誘導することが可能になる

従来は、EA-18Gの収集した電波情報から目標を概要位置を把握し、その後他のアセットが目視または光学照準で攻撃兵器を誘導する必要があった
●またFLIRに加え、豪空軍のEA-18Gは赤外線ミサイルAIM-9Xを搭載可能にしている

豪軍「Plan Jericho」と米海軍「NIFC-CA」
Brown Aust.jpg●豪軍はEA-18Gの他に、P-8A対潜哨戒機、MQ-4C大型無人海上ISR機、F-35A、E-7A早期警戒管制機の調達を計画しており、これらをネットワークで連接する航空作戦計画「Plan Jericho」を構想している

●米海軍のEA-18GやF-35Cは米海軍の作戦構想NIFC-CAの中核装備で有ることから、Brown退役大将に「Plan JerichoではNIFC-CAと連携するつもりなのか」と質問してみた
●Brown氏は「豪軍は常々米国と協力強化について協議している」、「米海軍や米空軍と、切れ目無く相互運用性を確保したい」と答えた

6月29日中谷防衛大臣は国会で
Nakatani.jpg中谷防衛相は衆院平和安全法制特別委員会で、ミサイル防衛態勢の向上に関し、水平線下のミサイルを迎撃するための米軍の新たな防空システム「NIFC-CA」の導入を視野に入れていることを明らかにした
●同大臣は「NIFC-CAなど米軍の新コンセプトの検討も踏まえ、ミサイル防衛態勢を検討していく」と述べた

●一方で横畠裕介・内閣法制局長官は同委員会で、日本や米国への武力攻撃が発生していない段階では、米国へ向かうミサイルを迎撃できない可能性に触れた
●法制局長官は「法案で手当てしていない。(現行法は)日本に向かうミサイルへの措置のみだ」と述べた
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豪軍の「Plan Jericho」と米海軍「NIFC-CA」に並び、日本は何と呼ぶのでしょうか?
法的解釈はともかく、夏休みを利用して名称を考え、防衛省にお気に入りの名前を無理矢理応募してはどうでしょうか

でもその前に、日本は戦闘機の機数だけしか考えていないので、電子戦機には全く予算が回っていません
陸自の定員を削減し、脆弱で高価で関連装備が莫大な戦闘機の数を減らし、電子戦分野に投資を回して頂きたいものです。

bansyou.jpg陸自削減に関しては、4日付で退職する番匠陸将の動向が注目されます。まさかNSCに入って、安保政策の中心で「陸自組織防衛」を担うことが起こらないように・・・

中谷大臣は、防衛大学の同期生だからといって、人格面で陸自幹部の評判が極めて悪い番匠氏を活用しようなどとお考えにならないように

関連の記事
「日本もNIFC-CAに?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-11
「米海軍NIFC-CA構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-01-26

「NIFC-CAとSM-6連携」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-27
「NIFC-CAで空軍と協力」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-05-23

「FA-18追加購入問題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-23
「ステルス機VS電子戦機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-22

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miiitsu

こんにちは。miiitsuとも申します。
マングースさんのおかげで、軍事的な出来事の一端をしることができ、
世界情勢を知るのに役立っております。

ところで、報道では、wikiリークスによって、米国が日本中枢を盗聴していたことが判明したとありますが、オランドやメルケルの場合の反応に比べ、日本国政府の反応は軟弱玉無し腰抜けといっていいレベルだとわたしは思います。
このような反応しか示せない日本国の対米従属状態について、軍事的にどう思われますか?




by miiitsu (2015-08-04 15:58) 

名無しモブ兵

自衛隊でもNIFC-CAに当たる概念は研究開発中ですが、それそのものには名前はついていないようです。
F-3向け要素研究である「戦闘機用統合火器管制システムの研究試作」や空自PAC-2/陸自中SAM後継を目指すいわゆる将来SAM、
海自の次世代型艦載戦闘システムなど、ネットワーク戦に対応する装備などの開発は進んではいますが。

あと電子戦機については、現在F-15DJを改造してエスコートジャマーにするための電子戦ポッドが試験中、
現在実施中の1号機の胴体換装作業が済み次第、C-2試作2号機のELINT機改造が予定されています。

by 名無しモブ兵 (2015-08-05 23:01) 

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