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機体疲労深刻:米軍FA-18 [Joint・統合参謀本部]

FA-18 Inherent Resolve.jpg中東での酷使とF-35開発の遅れの中、機体設計寿命を越えて使用されている米海軍と海兵隊のFA-18に関し、米海軍航空戦部長であるMichael Manazir少将は、定期修理等で明らかになってきた機体の腐食、摩耗、疲労状況について、「驚かされている:caught us by surprise」と表現し、修理不能な機体も発見されていることを明らかにしました

この想定外について同少将は、従来の金属ではなく新しい複合材を使用しているため、機体の劣化を正確に予想できていない実態にも言及しています
国防予算削減への警告ともとれますが、FA-18が酷使されていることは兼ねてからの懸念でもあり、お馴染みManazir少将の語りでご紹介します

5日付DODBuzzによれば
Manazir2.jpg●米海軍&海兵隊航空会議で講演したManazir少将は、「機体腐食の衝撃は、想定以上の驚きだった」と認め、「機体を分解し、機体ダメージを確認した結果、部品の交換では対処できない状態にあることを悟り、任務から外すことになった機体もある」と語った
●米軍はFA-18A/Dを620機現在も運用しており、海軍はFA-18E/Fを主力としているものの、海兵隊は正面戦力として運用し、シリアやイラクで対IS作戦に投入している

●海軍等は約10年前、設計寿命が6000時間である機体を1万時間にまで延長使用する手法を見積もり、複合材(composite)を多用しているFA-18の機体は、従来のF-14やA-6のような金属製機体と比較し、それほど措置は必要ないだろうと判断していた
●また「6000時間を超えて運用するとは予期していなかったため、金属機体には実施していた腐食管理プロセスを踏んでいなかった。金属の腐食や疲労は理解していたが、複合材を知らなかったのだ」とManazir少将は認めた

FA-18.jpg●更に機体へのダメージは各機毎バラバラで、特定の改修プログラムが組めず機体全体を個々に当たるしかない状態に直面しているとも同少将は表現した
●同少将は何機程度が修理工場で運用不能状態にあるかに言及しなかったが、2~3個飛行隊分不足との予想や2020年までには100機程度が不足する状態になるとの予想もあると語った

●なお現時点では、海兵隊のF-35Bは本年後半に初期運用体制IOCには入り、海軍のF-35Cは2019年が見込まれている
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<Manazir.jpgstrong>海兵隊が、ソフト開発の遅れ等で極めて限定的な能力発揮しかできないF-35Bを受け入れ、取りあえずでも運用を開始するのは初期型FA-18が限界状態にあるからでしょう
それにしても、対ISはいろいろな方面に、じわじわと大きな影響を与えつつあります

複合材(composite)を使用した機体の「腐食、摩耗、疲労」について、きちんとした「normal corrosion control processes」が行われていないとの表現も気になります
民間機でも複合材は広く使用されていますし、日本のF-2にも多く使用されていたと思います。F-18のデータが公開されることはにでしょうが、安全面での教訓は可能な範囲で共有されることを願います

関連の過去記事
「海軍と空軍が共同で戦闘機検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-30
「なぜ追加でF-18が必要?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-15
「35歳FA-18の将来方向」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-12-15

「ステルス機VS電子戦機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-22
「母機よりも搭載装備を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-07-11
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