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中国海軍分析の集中検討会 [中国要人・軍事]

CMSI.jpg18日の週に2日間に亘り、米海軍大学の中国海洋活動研究所の主催により、中国海軍の増強状況と課題を議論する会議が開催され、同大学のエリクソン教授をはじめ、多くの専門家が分析を披露したようです。
なお同記事のタイトルは、エリクソン教授の発言を引用しつつ、「中国海軍は進歩しているが、やるべき事はまだ多い」となっています

24日付Defense-Newsが概要を報じていますので、海軍用語で理解出来ない部分も多いのですが、参加専門家の発言を、何時ものように「適当につまみ食い」でご紹介します

Andrew Erickson米海軍大学教授
●中国海軍の状況を表現すれば、非常に多くの活動が同時並行で行われており、その成果も現れている。しかし、この複雑で容易でない分野に置いて、これらの努力を実際の能力発揮に結びつけるには、多くの事が今後成し遂げられなくてはならない。希望がないわけでは決してなく、彼らは前進を続けている。しかしそれは長く困難な道である
AndrewEricksonUSNWC.jpg●(会場の多くの参加者の共通認識→)水上艦艇も潜水艦も、対水上艦艇の作戦に極端に重点を置いて構築されつつあるように見える。新分野で進歩がない訳ではないが、我々が確認出来る大きな成果はない模様

●(会場の多くの参加者が指摘→)潜水艦の原子力推進機関は、中国海軍の今後の課題である。彼らは効率的で長寿命で信頼性の高く、静かな原子炉を備えた攻撃型潜水艦を多数欲しているだろう
●(会場の多くの参加者が指摘→)中国産業はガスタービンやディーゼルエンジンを製造可能だが、最高レベルのエンジンを製造出来るレベルにはない

●Yuan級潜水艦は、他海軍が実用化しているAIP機関の搭載に成功した
●更に中国は、日本やドイツのように、リチウムイオン電池推進の研究に取り組んでいる。まだ完成させておらず、具体的な動きも確認出来ていないが、中国は強い決意を持って挑んでおり、2020年までの完成を目指している

Christopher Carlson退役大佐
Admiralty Trilogy.jpgミサイルの射程とその多様性拡大は、米国軍や同盟国軍を今後更に苦しめることになろう。
●また、1500トン級の「Type 056 Jiangdao級」が少なくとも20隻以上が建造中か運行されており、同艦艇が近海で運用されると、より大型艦が遠洋に出て活動範囲を拡大するだろう

●長距離・長時間の運行を想定した原潜の建造は、中国で必要と見なされていない模様だ。攻撃原潜の建造が多くなるとも考えにくい。彼らは国家のプライドとして原潜の建造に取り組んでいるのではないか
●(会場の複数の参加者も指摘→)中国海軍は対潜水観戦が弱点であるが、水上艦艇に探査水深を変更出来るソナーを装備したり等の改善も見られる。今後も改善に取り組みだろう

James Fanell前太平洋海軍情報部長
(「中国海軍は海自を撃滅する任務を付与」と現役時に発言)
Fannell.jpg中国海軍は今後15年間は拡大発展を続け、2030年には415隻を有する巨大海軍になる。潜水艦を99隻、102隻の巡洋艦・駆逐艦、73隻の着上陸艦、111隻のミサイル艇等である。そして近海での積極防御能力と遠洋での作戦活動が増加し、平和維持活動等への参加も増える
●(会場の多くの参加者の共通認識→)艦艇建造能力が向上しており、モジュラー建造方式やロボット・3Dプリンタを活用し、国内設計の質向上に努めている

水上艦艇の増強による水上戦能力の向上が中国海軍の力点で、Luyang III Type 052D級(米のイージス艦ほどではないが、超音速巡航ミサイルYJ-18を備え十分な能力。第1列島線越えを図る装備)が切り札、Jiangkai II Type 054Aの大幅増強が目立っている

その他、会議での一般的見方
●(会場の多くの参加者の共通認識→)空母「遼寧」は空母運用の経験を積み、最適な空母を案出する役割
●何人かの専門家は、露のSu-27を元に開発されたJ-11は、将来の空母艦載機になる可能性を指摘

ジン級戦略ミサイル原潜は、2016年に核任務航海の開始が予期されているが、推進装置が未発達であり、多くの参加者はその性能を控えめに言及していた
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対水上艦艇戦を重視しているのはなぜでしょうか?
とりあえず得意分野から? とりあえず平時のプレゼンスを重視? 船乗りが、潜水艦や海軍航空族より力が強い? 

China-Navy4.jpgErickson教授が「まだ長く険しい道が・・」と表現したのは、現在の米海軍レベルを基準に比較した場合でしょうが、南沙諸島等での「着実な埋め立て工事」を見れば、高度な海軍力より手っ取り早いやり方を中国は心得ているような気もします

久々に「James Fanell」の名前を目にしました。中国海軍に関する「率直な発言」が原因で、太平洋海軍情報部長を最後に退役に追い込まれた人物で、中国海軍分析20数年の大専門家です
今後のご活躍に期待致しましょう

関連の記事
「正直なFanell大佐更迭」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-11-12
「同大佐の話題の講演」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-02-21

米国防省の中国軍事力レポート
http://blog.livedoor.jp/nonreal-pompandcircumstance/archives/50748065.html

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