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未だエアシーバトルの実態見えず!? [Air-Sea Battle Concept]

「車に貼り付けたステッカーのように・・・」

ASB1.jpg2015年の新年早々、国防省のエアシーバトル(ASB)検討室を廃止し、統合参謀本部J-7に機能を移管、本年末までにASBとの名称を使用しない「JAM-GC:Joint Concept for Access and Maneuver in the Global Commons」とのコンセプトペーパーをまとめることで、現ASBを見直す方向が明らかにされました

国防省関係者はその理由を明確に説明せず、エアシーバトルの考え方は引き継がれると強調していましたが、「エアシー」だけが実質強調される用語やコンセプトに陸軍と海兵隊の反対し、巻き返しを図っているものと、まんぐーすは解釈しています。

実際、米陸軍は「機動旅団を敵後方に空中投下して敵側面を突き、敵のミサイル攻撃下でも海岸線を確保する想定」で机上演習をやったり、「海兵隊や特殊作戦コマンドとともに、加州の演習場で突破作戦訓練(early entry operation)を計画」したりの「おれもおれも」状態です

US army infantry.jpg中国のA2AD対処に関し、今地上部隊に一番期待されていることは、米陸軍が攻防両方のミサイル部隊となり、中国軍のようなA2AD能力を米軍内で構成することです。地形を生かして攻撃ミサイルの生存性を確保し、粘り強く抑止力&攻撃力を維持し、防空ミサイルで粘り強くResiliencyを維持できる陸軍だとおもうのですが・・・

「陸軍をミサイル部隊に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-10-30
「米陸軍にA2ADミサイルを」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-14

前置きが長くなりました
国防省関係者が「考え方は引き継がれる」と一応強調していた、本来しっかり検討されるべき「エアシーバトル」の現状に関する、現場部隊指揮官のコメントを断片的ながら紹介致します。
ASBの影が薄くなっている今日この頃、これでも良しとするか、ガッカリするかは読者の皆様のご判断に・・・

4月29日付米空軍協会web記事より
ASB5.jpg米空軍グアム基地の幹部達は、訪問した米空軍協会機関誌の編集者に語ってくれた。今年の新年早々、エアシーバトルは新しい名前を得たのかも知れないが、アジア太平洋地域では依然としてコンセプトは生きている。ただし、その中身は漠然としているが・・・と。

●米空軍アンダーセン基地を運用する第36航空団の作戦群司令官Reid Langdon大佐は、「(コンセプトの訓練は)年に2回ほど統合の環境で行っている。Cope North演習やValiant Shield演習でだ。しかし他の統合訓練では率直に言って、ごく一部を気持ちだけ切り取ったような訓練だ」と表現した
●同大佐は例を挙げて説明してくれた。グアム基地には大型爆撃機が「continuous bomber presence」とのローテーション派遣でやって来るが、派遣されてきた搭乗員達に太平洋空軍は「ASB特有の戦術や技術や手順の訓練」を要求する。

ASB6.jpg●第36航空団の緊急対応群司令官であるLee Anderson大佐も、「太平洋空軍は(ASBの)戦術や技術や手順が何かを未だに示したことが無い」と語り、「車にステッカーを貼るような宣伝効果はあるだろうが」と表現した
●更に同大佐は「米空軍大学作成のコンセプトペーパーは存在し、立派なコンセプトだと思う。しかし(前線部隊にとっては)それがどうした?。どうすればいいんだ、との多くの疑問がある」と語ってくれた

●しかしAnderson大佐は、太平洋軍最大の演習でグアム基地を中心に行われる「Valiant Shield」は、「それがどうした。どうすればいいんだ」に対応する方向に向かいつつあるとも語っていた
●第36航空団のWolborsky 作戦部長は、2014年の同演習は過去最大で、135機の航空機と約18000名が参加して行われ、「エアシーバトルの実験室」だと呼んで取り組んだと語った
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第36航空団の幹部達も良くしゃべってくれたと思いますし、米空軍協会機関誌の記者も「的を得た質問」で言葉を良く引き出したのだと思います。
具体的な言及は無いものの、現場の実態を良く表現した記事だと思います

ASEANPlus.jpgワシントンDCではA-10全廃や基地の整理統合の提案が予算案審議の中で以前決着せず、次期爆撃機も選定延期の雰囲気で、更に強制削減の再来が目前に迫っており、実態として目前の対IS作戦とウクライナ情勢に絡む欧州への戦力増強で手一杯の雰囲気が漂っているのでしょう

でも2014年の「Valiant Shield」は、ASBのステッカーが色あせない程度に計画されたのでしょう。現状の世界情勢を考えれば、それで良しとするのでしょうか
日米首脳会談や新ガイドラインの雰囲気は悪くは無いのですが、現場に目を向けるほど、「中身はこれから感」が強くなります

関連の記事
「エアシーバトル検討室閉鎖」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-01-22
「新生ASBで米陸軍は何を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-01-26

「陸軍をミサイル部隊に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-10-30
「米陸軍にA2ADミサイルを」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-14

ゲーツ語録「100選」の中より
(「100選」→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-05-19
次の本格紛争には主に海軍と空軍が関与するであろう現実に、陸軍は向き合うべき。 アジアや中東へ大規模地上部隊を派遣するよう大統領に進言する国防長官が仮に現れたら、頭の検査を受けさせるべきだと思う →http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07-1
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