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Work副長官が将来地上部隊を語る [米国防省高官]

「Three-Play Combat」方式を前線部隊に

Work-army2.jpg8日、Work国防副長官が米陸軍大学主催の「Army Strategy Conference」で基調講演を行い、海外からの専門家を含む内外の研究者や政策担当者を前に、陸軍や海兵隊が直面する戦場での課題に触れつつ、努力すべき方向性について語りました

カーター長官が政治レベルで国防政策議論を担うとすれば、Work副長官は海軍士官やシンクタンク研究員や海軍次官だった経歴も活かして、国防省内の実務を仕切る役割を持っています
各軍種の将来構想や装備品の要求性能議論にも深く関与しており、UCLASS議論で海軍と正面から意見をぶつけ合うバイタリティーも持ち合わせた人物であり、陸軍や海兵隊へのメッセージにも注目が集まっています

8日付米国防省web記事によれば
Work-army.jpg●基調講演で副長官は、将来戦では兵士も装備も、宇宙からサイバー空間も含む手段を用いて、多次元の「情報化空間」で統合作戦に直面するだろうと述べた
●副長官は「米陸軍や海兵隊の兵士は将来、精密誘導兵器やサイバー攻撃や電子戦に覆われたような戦場で戦わざるを得ないだろう」とも説明し、通常戦からハイブリッド戦、非線形戦、非国家組織との近接ハイブリッド戦、高列度戦等々を様々な戦いに臨む必要があろうと述べた

●これら多様な脅威に備えるため、副長官は将来戦の「three principles」を提示した
---第1に、将来の地上戦はそのタイプに関わらず、誘導兵器や先進兵器拡散の中で戦われる。この予測が外れれば幸いだが、我々が進歩しているように相手も進歩すると考えるのが自然だ。ロケット弾も砲弾も迫撃砲弾もミサイルも、レーザーやGPS誘導を受けるのだ誘導機関銃弾やセンサー信管兵器も遠い将来の話では無い。人間の痕跡を自動追尾する戦車もだ。

---第2に、将来の地上最前線は中国が「情報化戦:informationalized warfare」と呼ぶ戦いと対峙しなければならない。これはサイバー戦、電子戦、情報戦、ぎまん、指揮統制の拒否戦を組み合わせ、相手有利に導こうとするものである
---第3に、上記の誘導兵器と「情報化戦」を組み合わせ戦いが全てのタイプの地上戦で予期され、それらを組み合わせた作戦遂行能力が地上部隊の優劣を決める

軍の競争力を付ける取り組み3つ
---優秀な人材を集めて競争力向上。将来の徴兵によらない軍のあり方であり、各軍種の教育訓練のあり方であり、国防省による文民や関係企業育成である
---技術優位や優れた作戦運用での競争力確保
---国防省全体での効率性や費用対効果改善

work1.jpg●そしてこれらの鍵となるのが「第3のoffset strategy」である。我々がWW2以降大前提としてきた、技術優位と良く訓練された兵士の存在を守ることである
●これは、鍵となる革新技術を見いだし、装備開発に生かし、部隊配備する事が中心であり、また現有能力を異なった手法で用いることでもある
例えば、トマホーク巡航ミサイルのシーカーを変更すること無く、軽微な改修で射程1000マイルの移動目標攻撃可能なミサイルに変換することである

「第3のoffset strategy発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-06-1
「トマホークの画期的改良」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-02-12

アイゼンハワー大統領が述べたように、WW2で兵士の血と肉体で敵と対峙した国もあったが、米国は装備と技術で人命を救ってきた。また専制国家が強制的に仕立てた軍隊より、我が志願制軍隊の方が創造性ややる気や使命感で勝っている
●技術的な優位が日々失われつつある中、我々はこの力を生かし、敵を遙かに上回る力を取り戻したいのだ。同時に、技術的優位はすぐに失われることも忘れてはならない。

「Three-Play Combat」の思考を部隊に
●著名なチェス名人Tyler Cowenは著書の中で述べている。コンピュータは人間に勝てないと言われてきたが、それは間違いだった。しかしCowen はこうも言っている。コンピュータと人間の組み合わせチームは、コンピュータにも人間にも負けたことが無いと
●我々はこの「Three-Play Combat」(PCと人間の組み合わせで相手に対峙)をエアシーバトルに活用しているか? 指揮統制に生かしているか? 意思決定に生かしているか? これを米陸軍大学のような機関への根本的な質問としたい

Work-R-Navy.jpg●アフガンの前線では、地上部隊1個大隊が、最大で77個の小グループに分かれて行動したそうだ。現代戦では、これら少数の戦闘単位が火力、情報力、兵站力で敵を圧倒しなければならない
良く訓練され、最新技術のロボットや自動装置や無人システムを使いこなし、「Three-Play Combat」を分隊レベルで可能な、破壊力と状況掌握力の両方を備えたスーパー強化分隊を保持したい

●DARPA(国防高等研究計画庁)は、人間と機械(コンピュータ等)の前線レベルでのコラボ増進に関するいくつかの研究を行っている。
●この研究には思考が必要だ。予算のことを心配するのではなく、我々の知性を投入し、将来の統合戦力の成功に導こうではないか
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頭ごなしに「地上部隊は考え方を変えよ!」と言うのではなく、アフガンでの戦訓やチェス名人の「Three-Play Combat」概念を持ち出すあたりのアプローチに、軍人だった経歴がにじんでいます。
本当は「Three-Play Combat」概念で、更なる規模縮小を持ち出したいのかも知れませんが・・・。そしてその予算を海空軍に投入したいのかも知れませんが。

またこの講演は、取っつきにくい「軍の競争力強化:Increasing Competitiveness」や「Third Offset Strategy」の概念をかみ砕いて説明しているので、参考になると思います。
副長官には、そのでっかい体とパワーで頑張って頂きたいものです

パワー溢れるWork副長官
「電子戦検討のリーダーに」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-19
「Work副長官の来日」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-08-24
「Work副長官承認される」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-05-01-1

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