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米軍がウクライナでロシア最新軍事技術分析 [Joint・統合参謀本部]

Hodges.jpg3月31日、欧州米陸軍の司令官であるBen Hodges中将が米陸軍協会で講演し、東ウクライナで実質的にロシア陸軍の大規模攻撃と対峙している状況から、ロシア陸軍の砲兵や電子妨害能力について多くの情報を得ていると語っています。

また同中将は、A2ADと言えば中国をイメージするだろうが、ロシアも相当な能力を備えていると警鐘を鳴らし、返す刀で、米陸軍の通信装備は妨害や被害への備えが不十分だと訴えています
細部について言及があるわけではありませんが、貴重な戦訓ですのでご紹介します

1日付DODBuzzによれば
Hodges2.jpg●31日、欧州米陸軍のBen Hodges司令官は米陸軍協会総会(@ハンツビル)で講演し、東ウクライナでの新ロシア派とウクライナ軍との戦闘から、ロシアの軍事技術情報を抽出するため分析を行っていると語った
●また、ロシアの支援を受けた新ロシアは勢力はサイバー戦や情報攪乱等のソフトな戦いから、トラック搭載のロケット発射機までを活用した「ハイブリッドな戦い」を行っていると同中将は説明した

●更に戦いの中で、ロシア製の電子妨害装置が米軍や同盟国軍の戦場通信を打ち破る潜在能力を備えている事が明らかになってきた、とも同司令官は述べた
●この電子妨害装置はロシア国営の軍事企業Rostecが製造しているもので、昨年同社は、クリミア半島上空を飛行していた無人機MQ-5B Hunte(独駐留米陸軍第66情報旅団所属)にハッキングを行ったと宣言していた

●一方で米陸軍関係者は、米陸軍がウクライナ軍に提供した迫撃砲弾監視レーダーが予期した以上の効果を発揮し、砲弾発射地点を特定してウクライナ軍を大いに助けていると明らかにしている
●なお米軍はウクライナ軍に対し、約120億円の支援パッケージの一環として、当該レーダーを20セット提供して支援している。

Hodges3.jpg●Hodges司令官は「ウクライナ軍が受けているようなロシア砲兵の攻撃を受けた経験のある者はほとんど無く、その点我々は多くの教訓を学んでいる」とも語った
●また司令官は「A2ADと言えば中国を連想し、その強固な防空網などをイメージするだろうが、ロシアはウクライナで相当の電子戦能力を示しており、米軍のネットワーク運用を不可能にするとまでは言わないが、極めて困難な状況に追い込むだろう」と説明した

●そして「ラトビアの港湾都市リガ、ドイツのBremerhaven or Ramstein港に戦力を展開する我々は、ネットワークに大きく依存している」と危機感をあらわにした
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この後Hodges司令官は、米陸軍の戦場ネットワークや通信が脆弱なまま放置されている現状を訴え、2008年の57万人規模から10万人以上の兵員削減が進行中である現状を踏まえ、削減するなら質でカバーしたいと装備の近代化を求める発言を行っています
そして更に、装備の近代化はNATO同盟国にも広がりが必要だと主張しています

AFcyber1.jpg米陸軍の通信近代化が遅れているのは、イラクやアフガンで緊急性が薄れて投資が進まなかったこともありますが、JTRS(Joint Tactical Radio System)やWIN-T(Warfighter Information Network-Tactical)などの膨大な投資を行いながら、十分な成果を上げられなかった開発管理の失敗も大きな要因です

いずれにしても、ロシアに好き放題やられている状態ですので、せめてロシア軍の状況把握には力を入れて頂きたいものです

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