SSブログ

正直な太平洋海軍情報部長が更迭 [Joint・統合参謀本部]

今年1月と2月に以下の発言をした米情報幹部が更迭
●分析の結果、中国軍は東シナ海地域で自衛隊を短期の激しい戦い(a short sharp war)で撃破し、尖閣諸島あるいは琉球列島南部を占領する新たな任務を与えられたとの結論に達した
●中国の基本姿勢は「中国のモノは中国の所有物、だからあなたのモノについて交渉しましょうとの態度
●中国の海上保安機関が行っているのは、中国の領海拡張要求を他国に押しつけること。完全に海洋主権に関する言いがかりを付ける為の機関となっている。その組織は驚くべき速度で艦艇を増強している

上記発言に関しては過去記事を
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-02-21

Fanell relief.jpg11日付Defense-News記事によれば、今年の1月と2月に上記の内容を米海軍関係者(OB、軍需産業、報道関係者を含む)に講演し、マスメディアが大きく報道して米国防省が火消しに当たった中国海軍専門家の太平洋海軍情報部長James Fanell大佐が更迭され、太平洋艦隊司令部の臨時ポストに異動した模様です

7日、米太平洋艦隊は「指揮官職でない兵士の異動等についてはプライバシーの関係から公表していないし、今回の異動についてもコメントはない」と声明を発表しています
非公開の情報にも接することが可能な高級情報士官が、公に「微妙な問題」について語ることが問題だとの「受け止め」はあるものの、海軍情報関係者の間にFanell大佐支持者は多く、動揺が広がっているようです

11日付Defense-News記事によれば
●太平洋海軍情報部長James Fanell大佐は、太平洋海軍司令官Harry Harris海軍大将(次期太平洋軍司令官の予定者)の命により職を解かれ、太平洋艦隊司令部内の幕僚長Randy Crites少将の補佐官を命ぜられた
●Fanell大佐の発言に関し太平洋艦隊の報道官は何もコメントせず、上記講演との関係についても何も語らなかったが、2つの情報筋は共に、情報の取り扱いが不適切だとの理由で更迭されたと述べた。

Fannell.jpg●2月にFanell大佐は米海軍協会主催の「WEST 2014」での講演で、最近の中国海軍による大規模な着上陸演習を分析し、中国軍が日本に対する「short, sharp war」任務を与えられたと発言し、その発言はNYT紙、ロイター、FT紙、Daily Telegraph紙等で大きく報じられた
●冒頭で紹介した発言の他にも、同大佐は講演で「中国はアジア太平洋地域で発生している全ての領有権紛争の中心におり、強引な島々の確保により排他的経済圏を強化拡大している」、「中国がこのような活動を海洋権益の保護のためと主張していることが、中国隣国の海洋権益に対する強引な嫌がらせや侵害を、何よりも明らかに示している」と語っている

●報道を受け、当時の国防省や米軍幹部は対応に追われ、国防省報道官のカービィー少将は「大佐の発言は個人の見解であり、国防省の中国に対する立場を反映していない」、「国防長官は中国の平和的な繁栄が地域にとって好ましいとの立場である」とコメントしている
●運悪くFanell大佐発言時に中国を訪問していたOdierno米陸軍参謀総長は、中国が日本への戦争を準備しているとの発言に「そのような兆候は何もない」と言わされることになった

●また米海軍トップのGreenert海軍大将は後に、「中国との戦争や、日中戦争が米中戦争の引き金となることをについてオープンに語ることは、レッドラインを超えることであり、不必要に敵対的な行為である」、「どれだけ我が国が中国と貿易しているかを考えるべきだろう」とコメントしている
/////////////////////////////////////////////////////////////////////////////

組織の属する人間として、組織の約束事の中で仕事をするのは当然のことであり、今回の異動措置も致し方ないでしょう。
しかしFanell大佐を代弁すれば、「かくすれば、かくなるモノと知りながら、やむにやまれぬ大和魂」(吉田松陰)となるのでしょう・・・

Fanell2.jpg若き頃のFannell海軍大佐は空母艦載電子戦部隊の搭乗員だったようですが、病(ガン)に犯された後は情報士官に転身し、その高い資質から米海軍で初の中国海軍専門分析官に指名されました。

以降、中東での活動に時節駆り出されたことはあるモノの、20年間ほぼ一貫して中国軍をフォローしてきた指折りの専門家であり、「知る人ぞ知る」存在です

米軍内の小さな人事異動ですが、若き日の無念な思いを力に換え、地道に日々の分析に取り組んできた男による、「俺が言わないで、誰が言う」の心境から生まれた発言だったのでしょう。
是非、「もつ焼き&ホッピー」片手に語り合いたい人物です

同大佐の話題の講演に関する過去記事
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-02-21

James Fanell太平洋艦隊・情報部長の経歴
http://www.cpf.navy.mil/leaders/james-fanell/

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0