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海軍トップ:NIFC-CAで空軍と統合作戦を [Air-Sea Battle Concept]

Greenert1.jpg22日付米国防省web記事が、米海軍トップのグリーナート海軍大将の講演を紹介し、米海軍の対中国作戦の中核となるNIFC-CA(Naval Integrated Fire Control–Counter Air)構想を、米空軍にも拡大して推進していると紹介しています。

NIFC-CA構想は、新しいネットワークで各種航空機や艦艇と敵情報をリアルタイムで共有し、強固なA2AD網を構築する中国に対処しようとする構想です
これまでも、FA-18、EA-18G、E-2D、UCLASSやF-35、更には米空母やイージス艦(Baseline 9とSM-6を含む)を連接する構想や試験をご紹介してきました

「米海軍のNIFC-CAとは」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-01-26
「NIFC-CAとSM-6連携」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-27
「米イージス艦のIAMD進歩」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-05-09

ただこれまでは、米空軍幹部のボヤキ(調整無く勝手に海軍がやっている)と共に、統合の調整が皆無とお伝えしてきましたが、少しは統合への視点もあるようです

海軍幹部の一方的な発言である点に注意は必要ですが、米国防省web記事が取り上げていますので、今後に注目です。

22日付米国防省web記事によれば
Greenert-CNO.jpg●21日、米海軍トップのグリーナート海軍大将が「Defense Working Group」朝食会で講演し、米海軍と空軍はアジア太平洋リバランス政策遂行のため、NIFC-CA構想推進のため協力していると語りました
●同大将は講演で「今から将来に向け、各軍種の情勢認識情報と攻撃能力を一体化し、目標情報をより遠方で察知することで、米海軍と空軍は経空脅威に対処していく」と語った

●また「海軍はNIFC-CA構想の要素を、米空軍との演習であるNorthern Edge(アラスカ)やValiant Shield(グアム)などで取り入れている」、更に「エアシーバトルの考えに沿って、全てのアセット等を戦術データリンクで結び、関連リンクが共有される事に取り組んでいる」とも語った
●更に今後の課題について「潜水艦、他の艦艇、航空機が共通の恩恵を受けられるようにすること」と明らかにした

Aegis.jpg●グリーナート大将はNIFC-CAの意義も強調し「NIFC-CAでは相手の装備や拒否システムの分析も行い、米空軍がどの分野で貢献できるかも吟味する」と語った
●更に「現場に存在するアセットを前に、どう運用するかを考える際、イージス艦や巡洋艦のデータも活用可能な状態に出来るので、皆が状況の共通認識を持ち、空軍も状況を踏まえ兵器を使用できる」と効用を訴えた

●そして同大将は「鍵となるのは、各アセットが戦術ネットワークに加わることである。例えば空軍のF-35Aと海軍のF-35CやFA-18E/F、空軍のJSTARSである。そのことにより、海空軍が情報を共有できる」と訴えた


米海軍web記事:陸軍とも連携(2012年9月)
●21日、ホワイトサンズ演習場で、海軍と陸軍はNIFC-CA構想に沿い、米陸軍のJLENS(Joint Land Attack Cruise Missile Elevated Netted Sensor)システムの情報を活用し、イージス艦(想定)から発射したSM-6ミサイルで目標迎撃に成功した
●SM-6は、演習場内の砂漠に設置されたイージス艦を模した垂直発射機VLSから発射され、イージス艦レーダーのデータではない陸軍システムの目標情報を基に誘導された

JLENS2.jpgご参考情報:JLENSについて
JLENSとは、簡単に言うと、地上とケーブルで結ばれた飛行船にレーダーを装備して低空を飛行する巡航ミサイル等を発見・追尾するシステムです。
捜索用レーダー飛行船と兵器誘導レーダー飛行船の2つがペアになり、2012年にはパトリオットPAC-3ミサイルを誘導する試験にも成功しています
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米国防省web記事が「NIFC-CA」を取り上げたのでご紹介しましたが、海軍トップの「上から目線」(空軍よ、海軍に従え)が感じられます
本記事に空軍幹部のコメントが全くないことから、米空軍が積極的に「NIFC-CA」に関与しているのかよく分かりません。

NIFC-CA.jpg最初にNIFC-CAを紹介した際の米海軍協会web記事は、米空軍幹部の「何の相談も無しに勝手に進めるな」発言が紹介していました
恐らく今も、そのような雰囲気だと思います。

実際、F-22とF-35のデータリンクの相違海軍航空機との違いも指摘されており、更に海軍と空軍の指揮統制システムの思想の違いもあるようですから。

根本には、F-35命の空軍と、お付き合いでF-35の海軍の「大きな温度差」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-22)が有るのだと思いますが・・・
今後の展開に注目したいと思います

米海軍の航空作戦構想
「米海軍のNIFC-CAとは」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-01-26
「NIFC-CAとSM-6連携」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-27
「米イージス艦のIAMD進歩」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-05-09

「なぜ8機EA-18Gが必要か」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-03-13
「ステルス機VS電子戦機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-22

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