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ヨシハラ教授「日本もA2AD戦略を」 [安全保障全般]

Yoshihara22.jpg19日付読売新聞4面に、特集記事「日本への提言」4回目として米海軍大学のToshi Yoshihara教授が登場し、日本も自らのA2ADを構築すべきとの提案や、米国の尖閣諸島への姿勢について意見を述べています。

繰り返しになりますが、ルトワック、CSBA副理事長、ハメスに加え、ヨシハラ教授の登場と、読売新聞の人選と企画力に大きな拍手を送りたいと思います!!! さすが読売、今回は「米海軍戦争大学」とは訳してないですね!

ちなみに、昨年4月にヨシハラ教授が読売に登場した際は、「エアシーバトル(ASB)は、中国に適用すると紛争を拡大する要素になる」との主旨の言及があり、軍事施設(飛行場や港湾等)の強靱化や代替施設確保の重要性を指摘するなど、オフショア・コントロール論的な見方を披露(http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-04-03-1していました


ヨシハラ氏は「日本への提言」で・・・
Yoshihara1.jpg中国のA2ADは、対艦弾道ミサイルなど艦艇向けのミサイルを非常に重視している。ミサイルの大部分は中国本土から発射できるので、中国軍は本土からのA2ADの傘で第3国の介入を阻止できる
米政権に、(この地域の紛争に)軍事介入すれば、中国本土も絡んだ紛争に拡大するリスク&コストが生じると思わせる事を狙っている

日本も中国に対し、同じような心理戦を行うべきだ。陸自が持つ地対艦ミサイル(射程約150km)を南西諸島に配備すれば、緊要な地点(Choke Point)を閉鎖できる
●陸自は実際、昨年11月に宮古島に同ミサイルを展開した。これこそがゲームを逆転し、中国に対し、長期的に勝ち目はないと示す事になる
●また、日本が潜水艦を用いれば(強化すれば)、中国に高コスト(で中国の弱点)の対潜水艦戦への投資を強いることになり、ミサイル等の攻撃的兵器への資源配分を減らすことが出来る

米国の姿勢について
(中国の尖閣諸島周辺での活動活発化に関し)
Yoshihara2.jpg●米政府は尖閣諸島について「米国は領有権には立ち入らないが、日本の施政下にあり、従って日米安保条約は適応される」と説明している。これでは法解釈に偏り、日本や北京に誤った信号を送ることになる
施政権は、サンフランシスコ講和条約以降の合意で米国から日本に返還されたが、中国はこれを受け入れず「何を維持し、何を変えるかは自分たち次第だ」との立場

●中国は尖閣諸島周辺でのパトロールで、中国国内法の執行を主張している。1992年に領海法を制定し、執行能力が付くのを待っていた。空のADIZについても同じやり方だ。
●いつか、中国の海警局の船舶数が海上保安庁を凌ぎ、中国が施政権を行使している状況になれば心配。

米国には「無人の岩なんかほっておけ」との主張もある。日本が施政権行使できなくなったら、米国には日本の防衛の義務が無くなるのか。そうではない
米国は「中国が気に入らないだけで、地域秩序を一方的に破ることは出来ない」と言うべきであり、尖閣の重要性をはっきり説明すべき
●心配なのは、米国等で中国による尖閣に関する宣伝が、日本より上手いこと。日本も戦略的広報に力を入れるべき
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中国軍は本土からのA2ADの傘で第3国の介入を阻止できる」と中国軍分析の第一人者である米海軍関係者が言うのですから、ASBMの完成度やターゲティング能力がどうあろうと、米海軍は第一列島線内には入りたくないのでしょうし、入らないのでしょう。

Yoshihara33.jpgヨシハラ教授は来日時は防衛省等政府機関、海上自衛隊、シンクタンク等々で講義や意見交換を行っており、日本の事情にも詳しい人物です。また米国の政策にも関与している人です
ですから、日本に中距離弾道ミサイルを持てとは言いませんが、抑止力強化の必要性に立ち戻れば、日本としてはそう自ら判断し、将来の方向として見据えるべきでしょう

「日本も中国に対し、同じような心理戦を」行うのであれば、陸自現有の88式地対艦ミサイルだけで「ゲームを逆転」出来るとは思えませんが、陸自は災害派遣にしがみつかず、研究本部の中澤1佐のように「傾聴に値する」との姿勢で取り組んでほしいものです

日本版A2ADを考える陸軍ミサイル化
「CSBA:陸軍にA2ADミサイルを」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-14
「中澤1佐が傾聴に値すると」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-12-10

また、中国が「本土からA2ADの傘」を構築するなら、平時やグレーゾーンでの航空優勢確保のための戦闘機は、何のために存在するのでしょうか? 

究極のところ、ほとんど何の抑止力にもならないのが対中国A2ADにおける戦闘機です。平時やグレーゾーンの施政権行使ならば、4世代機で在空時間が長いF-16最新型等に、最新の長距離の対空や対地や対艦ミサイルを搭載すればよいのではないでしょうか?

F-22Hawaii3.jpg有事シナリオでも、4世代機でも在空時間が長いF-16最新型(F-2でも)なら、長距離対地ミサイルJAASM―ERでも搭載すれば、かなりの抑止力になります。
何を焦ってパブロフの犬のように、性能未定で高価で国防費を食いつぶすF-35戦闘機によだれを垂らし、すぐ手を出す必要があるのでしょうか? しっかり見極め、脆弱な戦闘機クラスは無人機等のオプションと慎重に比較すべきなのに・・・

戦闘機の相対的有効性低下と共に、必要性の増す分野は山ほど有ります。それらをバランス良く見渡して投資優先の全体構想を練るべきなのに
日本は米国よりも、遙かに脅威変化の最前線にあります。米軍追随じゃなく、米軍をリードする防衛構想が必要なのに、米軍の戦闘機命派にしっぽを振る、日本の戦闘機命派にミスリードされているのが我が軍です

ヨシハラ教授関連の記事
「対中国姿勢を語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-04-03-1
「日本自身のA2AD構築を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-09-29
「米海軍は日本から豪へ移動」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-07-29-2

読売「日本への提言」シリーズ
「CSISルトワックが日本に提言」→ http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-03-17
「CSBAがエアシーバトルの最新状況を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-03-15
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