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米空軍幹部がアジア太平洋を語る [米空軍]

AFM0114cover.jpg1月号の米空軍協会機関誌が「The Pacific Abhors a Vacuum太平洋地域は空白を嫌う」との巻頭記事を掲載し、昨年11月に行われた米空軍協会総会で米空軍主要幹部が語ったアジア太平洋リバランスの動きを紹介しています。

残念ながら予算の先行きが「強制削減」がらみで不透明なため、余り威勢の良い発言はありませんが、米軍の態勢改善や同盟国等との各種協議や訓練に「小さな事からコツコツと」取り組んでいる様子が覗えます。
「日本」への言及もかなりありますので、日本関連部分を中心につまみ食いでご紹介いたします

Fanning空軍副長官
●予算の強制削減がらみで投資は依然不透明だが、米空軍は航空機500機と人員2万5千人の削減危機に直面している
しかし、国防長官、他軍種参謀総長、地域コマンド司令官等との協議を経た後でも、多くの空軍の優先事業は生き残っている。空軍の重要性が理解されているのだ

Shelton空軍戦略コマンド司令官
●衝突点になるかもしれない太平洋地域では、生存性や強靱性や損耗減耗について、宇宙にまで拡大して真剣に考えなければならない。
●我々は問題をこれまでと全く異なる視点からも考えなければならないのだ。言わば「5世代」思考が必要なのだ。

カーライル太平洋空軍司令官や部下
Carlisle-pacaf2.jpg●新着任のHarry B. Harris Jr太平洋海軍司令官は、極めて積極的に米空軍や同盟国との運用協力に取り組んでくれており、更に「エアパワー無しでは、ISRや空中給油や対潜水艦作戦や兵站輸送等々の観点から、当地域では海軍作戦は成立しない」とまで言ってくれている
●私達は、潜水艦から「航空自衛隊のF-2」、更には宇宙アセットまでを視野に入れ、エアシーバトルを作戦遂行につなげることを考えており、そのための協力関係が機能している。

戦力の有効活用にも多くの知恵が生かされている。グアム基地の軍曹は、B-52のローテーション派遣に必要なC-17輸送機の機数を、従来の4機から1機に削減する方法を提案し採用されている
●また空軍中佐が提案した、4機のF-22と1機のC-17輸送機をパッケージにして緊急展開させる方法は、即応性の高い米空軍を生み出している。相手が嘉手納にいると思っている戦力が、気がついたら日本の千歳に展開しているといったことが可能になるのだ

敵による我が指揮統制システム攻撃にどのように対処すべきだろうか? 私のスタッフはこの検討に多くの時間を割いている。2月に太平洋空軍主催でハワイで開催する地域関係国による会議では、IAMDにおける指揮統制システムに関する困難な問いが議論されるだろう
日本との協力は、防空からミサイル防衛まで過去2年間で大きく進展した。彼らは他国との協力に関し、より主張するようになっている。また自身の防衛や安全保障を、地域全体の観点で考えるようになっている

Pacific adhor.jpg●昨年夏、米空軍の空中給油を受け、日本と韓国のF-15戦闘機が共にRed Flag演習に参加した。このように地域の関係国が一堂に会して訓練することの重要性は計り知れない。また地域での演習を、グアムでのCope North訓練のように多国間(米日豪)にする取り組みにも意欲的に取り組んでいる。
●また同Red Flag演習では、豪のE-7、米国のE-3、日本のE-767が同時に訓練に参加し、空中指揮統制に取り組んだ。3ヶ国の指揮統制アセットを同時に投入し、空中状況を皆で共有して組み上げ、戦いに臨んだのだ。更に訓練しなければならない。

ロシア軍の状況をブリーフィングに入れるようにしている。なぜなら、太平洋地域におけるロシアの影響力は極めて大きいからであり、露軍長距離爆撃機の日本周辺での活動からアジア諸国との軍事関係からもその様子が見える
●「米中による2極化」を唱える人もいるが、ロシアはこれまでにも増してアジア地域に政治と軍事の力点を置いている。ロシアをどう扱うかに関し、欧州米空軍司令官や欧州連合軍司令官と頻繁に議論している
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Red Flag2.jpgこれほど「日本」が頻繁に登場する米空軍協会機関誌の記事を見たのは初めてです。靖国やTPPやら種々抱えていますが、中国正面のアジア太平洋を話題にすると、日本に関する話題や期待が大きくなるのでしょう。
一方、「嘉手納にいたF-22が、いつの間にか千歳に」と部分は、あっという間に米空軍が中国正面から後方に撤退する様子を暗示しているような気がします。ちょっと誇大妄想かもしれませんが、軍事的合理性からすれば、米軍としては当然でしょう

我々が注意すべきは、上記では紹介の量が少ないですが、被害状況下や指揮統制システムの代替に関する記述もかなりの部分を占めています。問題意識の高さが覗えます
強靱さ、被害対処、脆弱性の克服は、日本が完全に無視している部分です。これに正面から取り組めば、戦闘機重視が如何に誤った選択かが自然と明らかになるでしょうに・・・

嘉手納被害を想定し、米空軍が戦闘機の避難訓練を
「米空軍が被害時の避難訓練!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-08-23-1
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