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夢しぼむ空母艦載無人偵察攻撃機!? [Joint・統合参謀本部]

米議員が要望:UCLASSを小さくまとめるな

X-47BsTwo-ready.jpg空母着艦に成功した無人機として話題になったX-47Bのイメージで話題を集めたUCLASS(空母艦載無人偵察攻撃機:Unmanned Carrier Launched Airborne Surveillance and Strike System)ですが、複数企業に具体的な提案を求める提案要求書(RFP)を発出するに当たり、その構想が予算の制約や思想の変化で、急速に縮小する方向にあるようです

そんな雰囲気の中、下院シーパワー小委員会の委員長と次席の超党派議員が、「システムの発展制限するような要求を出すな」との書簡を17日海軍長官に出しました。海軍長官側は、まだRFPは検討中との事ですが・・・

18日付海軍協会web記事によると
●17日、共和党Randy Forbes下院議員(委員長)と民主党のMike McIntyre下院議員は、Mabus海軍長官に対し「UCLASSには多様な任務遂行の可能性を想定し、空母航空団との融合等も考慮するべきだ」との書簡を出した
●UCLASSへの要求をどうするかは検討中だが、JROC(統合要求性能監査委員会)関係者によると、より要求を限定してISRだけとか、対テロ作戦攻撃程度に留めようとの議論があるようだ

CSBA-UCLASS.jpg●一方、書簡を出した両議員のように、以前から構想されていたA2AD環境下を突破して偵察や攻撃を行い、空母航空団の能力をより拡張するよう要求をする人たちも居る
●両議員は書簡で「現在は将来のシステムの成長を制限する方向にあるようだが、我々はUCLASSが海軍による最大限の戦力投射を担うことができるべきだと信じている」と訴えている。

●更に「技術開発の提案要求書RFPは、単一の性能要素のみに焦点を絞るのではなく、航続距離、搭載量、残存性、経費妥当性等々の複数要素のトレードオフや競争が可能となるような内容にすべきである」と要求している
●また両議員は、提案企業が長期及び短期の両方の視点で、柔軟にシステムを発展成長させられるような提案をさせるべきだとも主張している

●海軍は8月14日、4企業(ボーイング、ロッキードマーチン、ノースロップグラマン、GAAS)と事前設計契約を結んでおり、これらの企業にRFPを出して検討させる予定。海軍関係者は現在もRFPを検討中だとコメントしている
UCLASSは2020年までの運用開始を見込んでいる

別の海軍協会web記事は背景分析を
Work.jpg5月に退任したBob Work前海軍次官(現CNASのCEO)は、「海軍による最大限の戦力投射を担う」UCLASSがイメージしていたのだが・・と過去を振り返り、Winnefeld統合参謀副議長が仕切るJROCにより変化がもたらされたと語っている。国防長官室OSDやJROCが予算の配分を行う権限を持っているのだ

●またUCLASSには、空軍のプレデターやリーパーが行ってきた対テロ作戦への期待もある。空軍無人機は作戦地域近傍の「パートナー国」から離発着する必要があるが、当該国との関係からその運用は必ずしも容易ではない
対テロ作戦機が空母から活動できれば、これら関係国との関係を考慮しなくて良く、適当な陸上基地が確保できない地域でも作戦が可能との利点がある。
●また対テロ作戦では、ステルス性を必要とするような敵防空網を想定する必要は無いので、より軽易な装備で対応可能である

Winnefeld2.jpg海軍側はシステムを発展性を求めて議論しており、また調達機数は少なくても、必要な地域に展開する空母にローテーション派遣して活用する構想等を提示していた。Bob Work氏が退任した時点では議論は継続していた模様。
しかしWinnefeld副議長は全く異なる構想を持っており、空母周辺で連続哨戒が可能で、そのような機体を限られた予算の範囲でとの強い意向を持っていたようだ

厳しい財政状況も強い変更要因となっており、国防省の無人機担当高官は一般論としながらも「完成できない計画に投資することは出来ない」と語っている
●いずれにしても、Work氏が言うように「RFPを見れば、どのような判断が下されたか分かる」のだろう
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CSBA-China.jpgX-47Bの成功を手放しで喜んでいたまんぐーすとしては、UCLASS構想が萎んで行くのが悲しいですが、Winnefeld副議長の考え方はごもっともです
予算が限定される中、A2AD領域を突破して攻撃するのは空軍の次期爆撃機やステルス性のある長距離ミサイルに任せ、偵察も同爆撃機の改良版で間に合わせようとの考え方なのでしょう

でも空母からの本格的な戦力投射をあきらめた場合、拠点となる基地が少なく、かつ基地が中国から遠い場所に分散しているアジア太平洋地域で、どのような作戦が可能なのでしょうか?

UCLASSの技術開発RFPが出た際にまた議論となるでしょうから、そのときのお楽しみに致しましょう!

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