なぜ露はシリア攻撃に反対するのか? [ふと考えること]

ロシアは常に米国の軍事行動に反対するからなぁ・・とあまり良く考えもしなかったのですが、通信社で長年ロシアを見てきた名越氏による解説は、短節に分かりやすくポイントを整理していますのでご紹介します
なお名越健郎教授は、1953年生まれ。東京外大露語科卒業。時事通信社入社。バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局長、モスクワ支局長、外信部長等々を経て、2012年から拓殖大学海外事情研究所教授です。ロシアに関する著書も複数
5つの視点で解説:なぜ露はシリア攻撃に反対?
ロシアでのG20首脳会議で議長を務めたプーチン大統領は、夕食会をシリア問題にあて、多くの首脳に軍事介入反対論を発言させてオバマ大統領に恥をかかせた。両者は元来合わないが、これで関係修復は不可能だろう。なぜロシアはこれほどアサド独裁政権に固執するのだろうか。

●第二に「アラブの春」に終止符を打ちたい思惑だ。デモによる政権転覆を放置すれば、民主化機運がやがてロシアに及びかねないとの危惧がある。
●第三にシリアのタルトゥース港は小さいながら、旧ソ連時代から残るロシア最後の国外海軍基地。海軍力増強を図るロシア軍は「地中海作戦司令部」を設置する方針で、同港を地中海戦略の拠点にしようとしている。ロシアにとってシリアは中東最後の砦だ。
●第四にシリアはロシア製兵器のお得意様だ。2011年に内戦が始まって以降、ロシアは対艦ミサイルや攻撃ヘリなど数十億ドルの兵器を供与したが、支払いは長期返済。アサド政権が倒れれば、後継政権は支払わず、膨大な債務が踏み倒される恐れがある。

名越教授は更に
●米国は「シリア反政府勢力にアルカイダはいない」(ケリー国務長官)としている。だが、もしアルカイダの活動が確認されれば、逆に米露の一定の歩み寄りもあり得る。シリア情勢は、国際社会のパワーバランスを一変させかねないのである。
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「メンツの問題」と「債務踏み倒され懸念」と「タルトゥース港死守」はさておき、「アラブの春に終止符希望」や「アルカイダ懸念」については、米国や米国を支持する関係国も本音では理解できる部分かもしれません。

それにしても「アラブの春」には困ったものです。
また、「アラブの春」を促進した「スマホ」にも困ったものです。あの複雑で分かりにくい料金体系や、青少年から大人までを「中毒」にする麻薬性等々、規制を考えても良いのでは・・・と思います。
↑ ↑ ↑ ↑ イラスト絵は、ワシントンポストに掲載されたエジプトでの「アラブの春」を風刺するもの。エジプト市民が「エジプトの民主主義」なる資料を倉庫から取り出して見てみると、使用手引書が古代のヒエログリフで書かれていて解読できないようす。
シリア攻撃関連の記事
「オバマに反旗:将軍の反乱!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-09-11
「攻撃計画を匿名幹部が語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-09-09
「米空軍:攻撃準備は十分でない」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-08-29
「対シリア:化学兵器無効化兵器」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-08-31
「シリア防空力はリビアの5倍」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-03-10
スマホに限らず、インターネットの普及によって、感情的で短絡的かつ、無責任で下劣な情報発信、意見表明(しかも匿名)が広まってしまい、元来の日本人、と言うよりも人間としての美徳が崩壊している気がしているのがとても悲しい限りです。「志は高く、姿勢は低く」私がお世話になった恩師はこう言っていました。最近、この言葉の重みを噛み締めさせられる事が多いです。
by F-35 (2013-09-16 09:40)