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中国軍の権威ヨシハラ教授が語る [Air-Sea Battle Concept]

軍司令官が示す攻撃的な作戦を、習近平主席が「政治的に賢明な選択ではない」と拒否できるか分からない

Yoshihara.jpg3日付読売新聞が囲み記事「語る:対中戦略」の第3回目として、人民解放軍研究で注目を集める米海軍大学のトシ・ヨシハラ教授のインタビューを紹介しています
米国内でもその発言や分析が注目され、軍の研究にも参画している同教授が、中国軍への文民統制、エアシーバトルへの懸念、中国A2ADへの対処への助言等の視点から語っています

心配は、事もあろうに「U.S. Naval War College」を「米海軍戦争大学」と訳した読売新聞とワシントン支局・中島健太郎氏の本分野への見識です。
転勤されたばかりなんでしょうか? 大事な部分を聞き逃したり間違ったりしていませんように祈ります・・・

米海軍大学のヨシハラ教授は・・・
89年の天安門事件の後、共産党と軍の間で、「軍は政治にかかわらず、戦略の立案に集中する。党と政府は財源を軍に回す」との取り決めがあったとされている
軍に、兵器開発や軍事ドクトリン策定で自主権を与えたことになる。つまり、軍司令官が示す攻撃的な作戦に習近平主席が「政治的に賢明な選択ではない」と拒否できるか分からない

Yoshihara2.jpg中国のA2AD戦略は、弾道ミサイルや航空戦力(搭載の巡航ミサイル)で先制攻撃し、特定の航空基地を破壊して制空権を奪うもの。沖縄の嘉手納基地が最初のターゲットになるでしょう。
●海空軍による長距離攻撃を柱とするエアシーバトル(ASB)は、中国に適用すると紛争を拡大する要素がある

●それより効果的なのは、鉄骨とコンクリートを使い、航空機防護用の格納庫を作ったり、滑走路の迅速な修復を可能にする備えをすること。これは日米に共通
●また有事の際、米軍と自衛隊が出来るだけ多くの民間飛行場や港湾を使用できるよう法整備することも必要。拠点が増えれば、中国は攻撃先を迷い、リスク分散になる

●中国空母の「遼寧」は「超大国のシンボル」で、米国との1対1の戦闘で勝ち目はない。しかし南シナ海沿岸の相対的に弱い国に対しては、極めて有効な戦力になる
●中国が何でもできる「魔法の銃弾」を持っているわけではない。彼らの弱点を突く戦略で対処できる
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エアシーバトルの懸念を中国への過度な刺激(核戦争?)と結びつける辺りは、「オフショア・コントロール論(OC)」の考え方に近いとの印象を受けました。
やはりワシントンDCでは、OC論がASBを飲み込む形に向かっているのでしょうか・・

「オフショアコントロールを学ぶ」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-03-13

Yoshihara3.jpgいずれにしても、中国の弾道ミサイル等による先制攻撃を脅威とし、「鉄骨とコンクリート」によるResiliency(強靭さ)強化を訴える姿勢は、まんぐーすの姿勢の基礎であり、改めて意を強くした次第です。

そして冷静に「彼らの弱点を突く戦略」を訴えた締めの部分に「膝たたき」です。
ついでに「専守防衛」なんて冗談でしょ・・とか、「亡国のF-35」や戦闘機ばかりに投資していてはだめですよ、とか言ってくれると良かったのですが・・。
これは取材した記者の質問設定や答えの引き出し方の力量の問題でもありますが・・・。読売・中島健太郎君の奮起を期待する!

ヨシハラ教授関連の記事
「米海軍は日本から豪へ移動」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-07-29-2
「Toshi Yoshihara博士の来日」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-09-29

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