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X-51A:3回目も試験失敗 [米空軍]

X-51A-Waverider.jpg14日、PGS(prompt global strike)構想の一翼を担うと期待されていたX-51Aが3回目の試験に失敗しました。B-52爆撃機から発射後、300秒の試験飛行を目指していましたが、機体のフィンがうまく作動せずわずか15秒で海面に没した様です。

X-51Aは、大気圏内をマック6の超音速で飛行し、世界中のどの目標も1時間以内で攻撃できる体制造りのオプションのひとつとして、また超音速で敵が攻撃できないため偵察用として、米空軍研究所(Air Force Research Laboratory)で研究が行われてきましたが、以後の試験予算は現時点で目処が立っていません

X-51A2.jpgX-51Aの細部は以下の過去記事を参考にしていただくとして、2010年5月の1回目は146秒でエンジンが破損、2011年6月の2回目はスクラムジェットに点火できずに試験は失敗しています。

PGS(またはCPGS)は潜水艦発射型が現時点では有力なようですが、このような試みが予算で消えていくのは残念です。2週間以内に3回目試験の詳細が報告されるようで、もちろん計画終了が決まったわけではありませんが、「風前の灯」であることは間違いないでしょう

以下は昨年6月、2回目試験失敗時にX-51AとPGSの状況を記事にしたものです
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パネッタ次期国防長官がPGS(prompt global strike)構想を強く支持した模様です。
各種記事では、PGSにConventionalを付けてCPGSと呼称しているものも有りますが、まんぐーすはインク節約のためPGSのままで行きます。

↓ ↓ ↓ PGS(prompt global strike)構想とは・ ↓ ↓ ↓・・
「核抑止の代替?PGSとCSMとは」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-25

パネッタ長官は昨年6月(15日付DefenseTech・・・
●PGSは、対処に時間的余裕がなく、遠方で到達が困難な目標に対処する他に比類するものがない通常弾頭攻撃を可能にするものである。私の理解では、即時に地球全土をカバーするものは現時点で核弾道ミサイルしかない。このPGSは大統領に極めて有益なオプションを提供するものである。
●PGSは、大量破壊兵器により我の高価値施設を攻撃しようとする敵対者に対する有効な対処手段となる。PGSは、他が到達し得ない重大で余裕がない脅威に適応可能な唯一のシステムである。

一方でPGSの具体的システムは・・・
X-51_WaveRider.jpg●空軍は、ICBMに非核弾頭を搭載したものでは計画していないと語っている。一番の問題は、このタイプのPGSシステムは、核弾頭搭載のICBM攻撃と誤解される恐れが高く、使用のリスクが高い点にある。
●そこで空軍は超超音速飛行が可能な飛翔体開発に取り組んでいる。X-51A・Waveriderはスクラムジェットを使用して速度マック6で飛行し、目標に到達するもので、兵器化に向けて初期段階の試験が行われている。
●一方で、X-51A開発に必要な資金が確保できるかについては懐疑的な見方が多い。F-35、次期空中給油機KC-46A、SSBN-X、LRS各種システム、陸軍海兵隊の装備更新等々、資金が必要な装備が目白押しだからである。

期待が集まるX-51Aの2回目の試験は・・・
6月13日に行われた発射試験の結果は「成功には至らなかった」である。B-52から投下され、ロケットブースターでマック5まで加速に成功し、JP-7を燃焼させてスクラムジェット飛行に移行しようとしたが、数度試みたがJP-7に点火できなかった。
●空軍研究所やボーイング、Pratt-Whitney社の関係者は、膨大な実験データが得られたため、完全な失敗ではないが、今回を含め2回の飛行実験で、一回はスクラムジェットに点火し、一回は点火できなかった。原因を分析する。試験毎に成功に近づいているとコメントした。

X-51Awaverider.jpg昨年のエンジンに点火できた試験では、エンジン組み立ての不具合から燃焼の炎が燃焼室外に漏れ、回線や配管を損傷したため、自爆措置が執られた。300秒の飛行予定だったが、146秒時点で試験が終了した。
●試験用のX-51Aは4機作成されているが、次の試験は本年秋に予定されている。

PGSの必要性に疑問も14日付DefenseNews
●PGSやX-51Aがニッチな装備で開発する必要性に疑問を持つ関係者もいる。それよりも現有の海上発射型のミサイルやその改良型を活用することで対処できるのではないか、との意見もある。
●一方で、INF(中距離核兵器制限条約)が規定する中距離の運搬手段制限に抵触するので、海上発射型は問題がある、とする研究者もいる。

●費用面では、X-51Aが膨大な開発費を必要とすると懸念がある一方で、そんなものは今の段階で判断できないとの論者もいる。

「X-51A:2回目試験は」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-16
「X-51A:1回目の実験」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-23

「PGSに少し明るい話題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-18
「核抑止の代替?CSMについて」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-25
「PGSのHTV-2試験失敗」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-27

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