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アジアとの訓練強化:その一側面 [米空軍]

フロリダ州空軍からの参加者へ
「君たちのF-15は、将来この地域で重要なアセットとなる。戦争となれば、空での戦いとなろう。私は君たちを招集する。何人かは戻れないだろう。しかし有事に際し、君たちが招集に答える能力を持っていることは証明された」第13空軍司令官-西太平洋地域の米航空作戦司令官

cope tiger2.jpg3月19日、米空軍とアジア同盟国空軍との約2週間にわたる共同演習のある朝、作戦会議は次のような情報分析士官によるブリーフィングで始まった。
仮想敵「Redland:赤国」の作戦準備は最終段階にある模様。赤国は大量の防空システムの展開をほぼ完了しつつある。敵は我の周辺空域使用を拒否する模様
●赤国地対空ミサイル施設にある程度の被害を与えたが、我のF-16が昨日地対空ミサイルによって1機撃墜されている。撃墜されたF-16操縦者の捕獲活動を赤国特殊部隊が開始している模様
赤国の情報戦は効果的であり、非同盟諸国が赤国への支援を表明する状況になりつつある
●赤国の中距離弾道ミサイルが展開準備を完了している模様

米空軍が参加するこの共同演習には、約80機の航空機と2000人の兵士が参加し、演習間に約900回の飛行が行われました。主要な参加航空機は、米空軍のF-15、A-10、C-17、C-130、同盟国側からはJAS-39グリペンや最新F-15SG、F-5、F-16、更には捜索救難ヘリコプター等が参加したようです。
6月号のAF-Magazine記事からご紹介です

cope tiger5.jpg参加した米軍操縦者やスタッフのコメント
●私は参加機の中で米軍F-15の能力が最も高いと考えていたが、演習の各反省会からその考えが間違っていたことを知らされた。米軍のF-15が背後に回られることもあったし、同盟国機が米軍F-15の為の地域制圧を行ってくれたこともあった
F-15SGが米軍との訓練に参加したのは初めて。AESAレーダー、最新アビオニクス、GE F110エンジン、その他複数の先進センサーや能力向上が措置されている。米軍参加者は「新車の臭いがする」と噂していた
同盟国のパイロットは皆優秀で、共に行動する訓練を積むことの重要性を改めて強く感じた。言葉の壁はあるが、戦術に関しては意思疎通はさほど難しくなかった

cope tiger6.jpg●本国や現在の任地では経験できない任務、例えばA-10が行方不明者捜索の先導をして脅威偵察や遭難信号の探知に当たり、発見後は救出用の同盟国ヘリを護衛しながら対空脅威の制圧に当たる等々の貴重な実戦的経験が出来た
●訓練最終日には、計240名の参加各国兵士によるパラシュート降下展開訓練を行った。このような多国籍による降下訓練は希であったが、高々度から狭い目標範囲に集中降下する極めて挑戦的な訓練が出来た。

cope tiger4.jpg●この演習は1980年代に開始され、当初は空対空戦闘に重点が置かれていたが、近年は規模と複雑性が年々増しており、人道支援の物量空中投下、戦闘下の救難救助、航空阻止、CAS、遠距離侵攻攻撃等々に拡大している。またこれに伴い、空輸任務の重要性も増している。
約80機の参加航空機のなかで、米空軍の航空機は25機以下である。フロリダ州空軍から初めて12機のF-15Cが参加しており、韓国駐留のA-10も参加した
太平洋地域に展開している米空軍戦力は既に手一杯であり、またアジア太平洋地域重視の観点から、本演習18年の歴史上初めて州空軍を地球の反対側にまで派遣した。

本演習名はCope Tigerタイとシンガポールが参加
●米側演習責任者のCaudill大佐は、「現在は米を含み3ヶ国の演習だが、今後更に拡大できればよいと思う。その方向を考えている。ASEAN10ヶ国が数年後の安全保障コミュニティーへの努力を開始したところだし・・・」と語った。
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じらした記事になりましたが、6月号のAF-Magazine記事「Cope Tiger」の概要をご紹介しました

cope tiger.jpgアジア同盟国が主要戦力となる米軍との共同訓練です。新国防戦略が唱える同盟国の能力強化が進行中です。
勿論F-22が参加すれば主力になりますが、タイのグリペンやシンガポールのF-15SGは、米軍のF-15Cとは立派に肩を並べる(それ以上かも)実力を有しています。本当にアジア諸国は逞しくなりました・・・。個々の訓練内容も充実しています。

それともう一つの驚き! ASEAN加盟国でアジア版NATOの準備か?
原文は米空軍Marc E. Caudill大佐の発言「(ASEAN), which has embarked on an effort to bring its 10 members together in a security community in several years.」と紹介しています。本気なんでしょうか??

デンプシー議長の発言(下記の記事で紹介)には裏付けがあったんですね・・・多分。
「議長:アジアにもNATOを」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-01

「新海軍士官にア太平洋重視を」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-30
「シャングリラへアジア政策を」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-24
「国防戦略の5ポイント」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-02-01-1
「新国防戦略の発表」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-01-06

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