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「中国の軍事力」発表会見 [米国防省高官]

helveyChina-report.jpg18日、米国防省が毎年議会から提出を求められているレポート「中国の軍事力」を発表しました。規則上からは3月1日が提出期限だそうですが、この手の期限はほとんど守られていないようです。
発表会見は東アジア担当のDavid Helvey次官補代理代行が行い、既に日本でも様々に報道されています。

日本のプレスは、例えばNHKが「J-20は2018年には運用可能に! F-35の遅れが懸念される」といった取り上げ方をしているように、何とも焦点がずれているように思えてなりません。
そこで本日は、Helvey氏による会見冒頭の説明の中から会見の全体像を概要つかんでいただき、更に僭越ながらまんぐーす解説を押し売りさせていただきます。

「昨年の同レポート発表」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-08-25-1

●「事実ベースでのレポートを意図した。客観的で分析的なトーンを維持しようとしている。事実をして語らしめる事を狙った。レポートをまとめる際、国防省の議会用レポートの作成要領に従ったが、一方で、議会から質問のあった事項や課題についても同様の範囲で記載した
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★解釈→国防省の脅威の視点で淡々と記述したかったが、議会からのJ-20や空母に関する質問が多く、特に気にしていないがある程度触れざるを得なかった

ASBM DF-21D.jpg●「中国のプレゼンスは世界各地に拡大し、外交や経済的利害を拡大し、中国から遠く離れた地域でも多くのミッションに関与している。中国軍もますます拡大する任務に従事しているが、台湾海峡での緊急事態が第一の焦点で軍事投資を大きく牽引している」
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★解釈→さすがプロの見立て。やはり依然として原点は台湾独立阻止にある点を気づかせてくれる

●「台湾に加え、海洋領域主張に高い優先順位を置いている。そして最近、より高い頻度で定期的なプレゼンス誇示を南シナ海や東シナ海で行うようになった。更に非軍事的分野も含め、限定的ながら遠洋での活動能力も示した」
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★解釈→これもプロの視点。冷静に何が変化したのか「事実をして語らしめる」姿勢に同意

●「同時に中国指導者は、A2AD任務遂行(中国流には「干渉作戦対処」)のため、核戦力や中距離や短距離弾道ミサイル、また先進航空機、統合防空、巡航ミサイル、潜水艦、水上艦艇、対衛星兵器、サイバー戦能力への投資を継続維持している」
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★解釈先進航空機とは呼ぶが決して怪しげなステルスには言及していない。同時に航空機以上に力を入れて弾道・巡航ミサイル、潜水艦、宇宙・サイバーにしっかり注目している

GenLiangGuanglie4.jpg●J-20と空母に関して「J-20は有効な初期行動能力を2018年以前には達成しないと見積もる。空母は本年末には行動可能になるだろうが、搭載航空戦力は空母上での最低限の能力獲得に更に数年(several additional years)を要するだろう」
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★解釈議会やプレスがうるさく聞くから一応コメントしてあげます。そんなに気にしてないけど、邪険に扱うと米軍事予算削減に繋がる心配もあるから一応脅威といっておく

「中国空母艦載機J-15の評価」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-26-1
「映像と評価中国ステルス機J-20」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-12-30
「中国の脅威を誤解するな」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-03-28

●「中国の情報開放姿勢を歓迎するが、依然不透明不確実な部分が多く存在し、継続的な対話の重要性を際だたせている。」
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★解釈・事実一応毅然と発言している。だが、その後の質疑応答では極めて役人的な当たり障りのない表現にトーンダウン

●「この夏にロックリア太平洋軍司令官が、そして今年後半にパネッタ国防長官が中国を訪問し、米国がアジア太平洋地域に関与していくとの姿勢を示し、中国が当地域で建設的な役割を果たすように働きかける」
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★解釈→昨年は8月24日に本レポートを公表したが、今年は梁光烈国防部長の米国訪問が終了した現時点で素早く公表しておく。これ以上後にずらすと、夏のロックリア大将や本年後半のパネッタ長官訪中に難癖をつけられる恐れもあるし・・・

「中国の軍事力」レポート本文(54ページ:18MB)
http://www.defense.gov/pubs/pdfs/2012_CMPR_Final.pdf
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China2011report.jpg去年はシファー次官補代理が発表会見してましたが、今年はその代理(acting)の方になってますねぇ・・。シファー君はもう辞めたんですかね?

質疑応答の中では、やはり一番にサイバー攻撃の動向について質問が出ています。確かにレポート本文では、昨年より確信を持った表現で「中国発の攻撃」に言及しているようですが、会見の受け答えでは「very very pay attention」程度の回答で、過去との比較に関しても「比較するデータがない」とつれない「事なかれ」回答でした。

「昨年の「中国の軍事力」発表」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-08-25-1

「中国を名指し出来ない中で」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-16
「バイデン訪中と密約」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-09-12
「パネッタ長官のアジアツアー」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-22
「中国南シナ海進出を如何に防ぐ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-07
「1月ゲーツ長官の中国訪問」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-01-09-1

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