無人機操縦者と手当と民需増加 [米空軍]

その話題とは、空軍パイロットへの「特別手当」の話です。今回は最近急増しつつある、飛ばないパイロットと搭乗員である無人機操縦者とセンサー操作員に対する「特別手当」を維持せよとの空軍の主張です。
正確には米空軍がRANDに依頼して行わせた調査の結果ですが、「特別手当」維持の理由は、手当を止めると民間企業に人材が流出し、必要な要員が確保できない為となっているようです。
無人機操縦や操作員の状況

●手当の額は勤務年数により異なるが、操縦者で最大$840(月)、操作員$400である。この他に操作員は4年ごとに継続勤務ボーナスとして$50,400、$78,700、$79,200をそれぞれ支給される
●空軍の無人機需要は急増しており、24時間継続飛行監視を行うCAP数では、2005年に10個-CAPが、2011年には50個になり、2013年には65個に成る予定である。
●空軍はCAP1個あたり10国クルー(1個クルーは操縦者・操作員各1名の計2名)が必要だとしているが、現在は7から8個クルーでやり繰りしている
●要員を確保するため、米空軍は当初有人機操縦者を無人機操縦者に転換していたが、最近新人を最初から無人機操縦者として養成する教育コースも立ち上げ、空軍士官学校卒業生を卒業後直接コースに入学させている
●無人機操縦者の養成数は、2011年には年間60人であったが、2012年に146人、2013年には168人となる予定である。センサー操作員要請は安定期に入っており、2011年に353人で、2012年は327人である
民間での需要拡大

●調査によると、現時点で民間企業に雇用されて海外で活動する無人機操縦者の平均年収は$130,000で、センサー操作員は$83,000であり、魅力ある額となっている。
●空軍はARGUSと呼ばれる複数地点を同時撮影記録できるセンサー導入を進めており、この65倍も能力が高いセンサーが入れば、データ収集分析の労力は激増する。そのためにも経験を積んだ操縦者や操作員の手当を守らなければならない
手当:別の論点(12日Daily-Report)
●12日、元空軍参謀総長のフォーグルマン氏が講演で、空軍が今後予定している1万人削減について、現役と予備役と州空軍でどのように割り振るかの「言い争い」をそろそろ止めるべきだ、と警告した。

●現役だ予備役だ州空軍だと揉めている場合ではない。空軍が一丸となって立ち向かわなければならないのだ。
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RANDのレポートは米空軍が依頼したもので、やはり、予算削減の中で、生き残りや組織防衛を意図した意味合いがあることは間違いないでしょう。
残念ながら、この記事のコメント欄には、「無人機操縦者に手当など不要」、「ゲーム好きの中学生にやらせておけ」等々の辛辣な言葉が並んでいますが・・。
無人機の民間需要が如何なる中身なのか、記事からは不明です。ブラック・ウォーターのような企業が戦場で運用しているのか? 警備用なのか、農業関連か?
しかし、いずれにせよ無人機の有効性は誰の目にも明らかです。

そっちはどうでも良くて、フォーグルマン氏の思いも知らず「今後5--10年間で約1万人の航空会社パイロットが定年退職」と聞いて、ニヤリとしている人も多いのでは・・。
「UAV操縦者育成の新時代」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-01-27
「米空軍ISR組織の革新」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-21
「MQ-X計画は当面無し」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-02-16
「米空軍OBが断末魔の叫び」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-05-1
「空軍は単に飛んでいたいのか」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-02
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