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韓国への米戦術核再導入議論を巡って [ふと考えること]

KoreaPeni.jpgJapan Times電子版に7月27日付で「U.S. nukes to South Korea?」とのCSIS Pacific Forum所長のRalph A. Cossaによる記事が掲載され、茂田宏氏と岡崎久彦氏がそれぞれのブログで当該記事にコメントをされています。両氏共に同じ方向で、日本の核を巡る議論が依然「感情論」であったり、「タブー視」されていることを嘆いておられます
8月15日前後に日本で大量に放送された「戦争関連番組」に食傷気味の皆様に、「お口直し」としてご紹介します。

CSISのRalph A. Cossaによる記事は・・・
●有力な政治家を含む多くの韓国人が韓国への米戦術核兵器の再導入を主張し、更に多くの人が韓国は北の核兵器能力に対抗するために独自の核兵器を持つべきであると信じている。
CSIS Cossa.jpg●最近、韓国の5都市で大学、シンクタンク、メディア、一般公衆約800名に講演をした。その際、非公式な世論調査をしたが、軍将校を主体とする講演会は例外として、他の会場では同じような結果が出た
●半数以上が米の核兵器を韓国に再導入するか、少なくとも再導入すると脅すべしと考えており、3分の2以上の人が韓国は独自の核兵器を必要とすると信じていた。

●米韓同盟への信頼度は高いが、北の挑発を阻止し得ないことへの不満、中国の北支持への不満が背景にある。中国と北に注意を喚起するために必要であるとしている。
●この考え方の一つの変型は特定の期日までに北が非核化に真摯に対応しない場合、その期日には戦術核を再導入するとし、北と中国の対応を促すという案である。ただし、戦術核再導入、再導入の脅し、独自核の3つの選択肢の問題は、逆効果になる可能性がある。

●確かに中国に対しては、北への圧力を強める刺激にはなるだろうが、そもそも中国は北を本当に追い詰める気はない
●更に、北はその公式発言を読む限り、米国の核は既に朝鮮半島にあり、それが実際に半島にあるか、あるいは他所にあって韓国防衛に使える状態にあるかの間で大した違いはないと考えている。
●その上、戦術核再配備は韓国世論の分裂につながり、北はそれにつけこむことができる。加えて、北の核武装についても口実を与えてしまう

茂田宏氏のコメントは・・
http://blogs.yahoo.co.jp/kokusaijoho_center/37894127.html
●ラルフ・コサはCSISのハワイ支部長であり、安全保障に関する会議にも一緒にでたことがある。常識的な人で、かつ正直な人であると考えている。
sigetaH.jpg●彼が韓国の有識者に非公式な調査とは言え、こういう調査をしたこと、それを報告したことを評価したい。コサがここに書いている韓国人の考え方は私の韓国人との話し合いに照らしても突飛なものではない。
●北の核開発を受けて、北東アジアに核による平和を築くしかないのではないかとの考え方をする人は韓国には結構多い。韓国ではこういう議論が行われていることを我々は承知しておく必要がある

日本では核問題はタブー扱いで、戦略的にそれを議論することはきわめて少ないが、日本に再び核が撃ち込まれるのを防ぐというのが日本の核政策の根本であるべしと考えている。非核3原則はそれに資するか否かの観点から 評価されるべきであると考えている。

岡崎久彦氏のコメント
http://blog.canpan.info/okazaki-inst/archive/1339
okazakiH.jpg●韓国ではこうした議論が行われているのに対し、日本では全くと言ってよいほど行われていません日本でもこうした議論はすべきでしょう
●要するに、将来、日本に核兵器が撃ち込まれないようにすることが最重要です。米国の核を持ち込むかどうかも、そうした目的に沿うか否かで判断されるべきであって、非核3原則の堅持自体が重要という発想は、国際政治上の議論というよりは、被爆国としての感情論に依拠する論でしかありません

米韓関係は日米関係よりも緊密で、重要度を増していますが・・・
①米韓同盟が双務的な相互防衛条約に基づくのに対し、日米安保条約は防衛に関しては片務的で、米国は日本防衛の義務を負うのに、日本は米国を防衛する義務がない
②韓国でも反基地運動はあるが、普天間移転に際して見られるような騒動はなく、あっても韓国政府がきちんと収めている
③日本は集団的自衛権を持ってはいるが行使しないなど、米国から見るとイライラするような主張を今なお続けている
④韓国は武器輸出に積極的で、成長戦略の一つにしているが、日本は米国と共同開発した武器の第三国移転にも武器禁輸政策を基に種々文句を言っている
アフガニスタンに韓国は軍を出したが、日本は経済援助しかしていない、等を考えれば、それも当然でしょう。

どちらが頼りになる同盟国かは明らかです。日本はもっとまじめに核の問題を含めて外交・安保政策を考える必要があります
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まんぐーすごときが申し上げることはありません。

欧州での戦術核議論
「F-35に戦術核を搭載するか」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-07-06


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