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米空軍サイバー攻撃の準則公表 [サイバーと宇宙]

AFcyber1.jpg10日、米空軍がサイバー空間で攻撃を実施する際の法的部内規則を制定して公表しました。
7月27日付の文書で公表された規定(Legal Reviews of Weapons and Cyber Capabilities: Air Force Instruction 51-402)をうまくダウンロード出来ず、原文を確認していないのですがネット上で紹介されている概要をお知らせします。
もっとも・・・法的な内容なので、原文を読んでも恐らく「理解不能」ですし、ぼんやりと方向性しか公表されてませんが・・・

ネット情報によると規定(directive)の示すところは・・・
本規定が対象とするソフトや装置は、敵のcomputer systems, data, activities or capabilities をdisrupt, deny, degrade, negate, impair or destroyするものである。
●ただし本規定は、単に敵のコンピュータシステムへデータ収集等(exploitation)のためのアクセスを試みるサイバー兵器には適応されない

AFcyber.jpg●特別なアクセス・プログラムを除く全ての攻撃用サイバー能力を、米空軍がdeveloped, bought, built, modified or otherwise acquiredする場合は、空軍法務官(Judge Advocate General)が武力紛争法規に照らして法的確認する
●高度に秘匿度の高いサイバー兵器であるSpecial Access Programsの場合、確認行為は空軍特別協議会(Air Force General Counsel)が行う。

ネット上のコメントは・・・
この規定はこれまでのサイバー攻撃に関する公式文書よりより率直なモノである。
●課題は、新分野であるサイバー戦用の法体系が十分に整備されていないことである。もう一つの課題は、例え法体系が存在しても、サイバー攻撃用法に当てはめられない場合があることである。

●昨年春の米軍サイバーコマンド設立時の上院軍事委員会証言で、サイバーコマンド司令官のアレクサンダー大将は、「政府の文民指導者が、サイバー能力の進歩と法体系のミスマッチについて埋める努力を行っている」との述べている。

AFcyber2.jpg●また、「現状の活動に関する法体系整備に問題はない。一方今後の活動の中で、作戦遂行指揮官が直面する国家目標達成に対する能力と法体系のミスマッチ部分を明らかにするつもりである」と昨年春の段階で述べていたところ。
●更にサイバー攻撃能力に関し「サイバー空間で軍事作戦を遂行する大きな能力を保有している」と述べましたが、細部には言及しなかった。国防省は攻撃面でのサイバー能力についてほとんど言及していない。
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「米空軍が対リビアでサイバー攻撃」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-02-1
      ↑     ↑      ↑
本分野は公開される情報が限られ、公開されても表層的なモノが多くよく分からないのですが、それでも積み上げていくことにより「見えてくるモノがある」と思っています。
ご勘弁を・・・・。

サイバー戦関連
「サイバー国際戦略を発表」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-17

「前半:サイバーと宇宙演習の教訓」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-01
「後半:サイバーと宇宙演習の教訓」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-02
「誰がサイバー攻撃に対応するか」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-12
「サイバー司令官、国家への警鐘」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-09-24-1
「サイバー戦略5本の柱」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-09-20-1

「中国がネットの15%を乗取り」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-11-17

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Awakko

こんにちは。

私も英語に自信はなく、またザッとではありますが、原文?に目を通してみました。
慣習国際法や国内法、あとは私の解釈が間違えていなければ法の支配(法治主義, Rule of law)ですとか、武力紛争法(LOAC)などの法律分野らしい用語が登場しますが、それほどガチガチの法的要素というのはあまり無かったように思います。むしろ文書中の略語で混乱しそうになることが多かったです(苦笑)

全体としては、まんぐーすさんの仰るように表層的な印象を行けました。
権限・責任の明確化については、主要軍団(MAJCOM)付きの法務官(Staff Judge Advocate)<空軍法務部の作戦・国際法局長<首席法務官(JAG)<General Counsel(おそらく空軍省の法律顧問のことではないでしょうか)という感じの序列で明確になったように思えます。
しかし最後の部分、サイバー兵器やサイバー能力の禁止・制限に関して、米国が締結した条約や受容している慣習国際法に関連規定が無い場合どうなるのか?ということを述べているのだと思うのですが、「こういった問題が考えられる」という形で終わっているのは物足りない印象を受けましたが、逆にこの分野についての国際法の整備が追いついていない中での苦労が窺えるような気もします。
しかしサイバー戦の分野にまでハーグ陸戦条約(文中で取り上げられているのは附属書の23条ですが)は拘束力を持ちうるのでしょうか…?
by Awakko (2011-08-13 18:21) 

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