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2+2は震災モラトリアム [ゲーツ前国防長官]

2p2big.jpg21日、ワシントンで2007年以来となる日米安全保障協議委員会(「2+2」)が開催され、共同発表のほか、在日米軍再編、震災対処、駐留米軍経費にかかわる文書が発表されています。
読売新聞が「震災モラトリアム」との言葉を使って「2+2」を論評していますが、「震災で今大変ですから、米国さん少し時間的余裕を下さい」との日本側の基本的スタンスを反映したものとなっているようです。そんなところなのでしょう。

上の写真は米国防省HPのトップページに掲載された2+2関連の写真ですが、2国間関係に関する写真で、これほど不機嫌なゲーツ長官の写真が掲載されるのを見たことがありません。憮然とした表情・・とはこんな表情なのでしょう。クリントン国務長官は少しは外交向けの表情ですが・・・。

共同文書の最後のフレーズに・・・「閣僚は,日米同盟がかつてないほど重要であり,また,かつてないほど重要な課題に直面していることを認識した」との一文が含まれていますが、正にその通りでしょう。モラトリアムがいつまで通用するか・・・パネッタ次期長官はクリントン政権時、情け容赦のない「コストカッター」であり、政策推進者であったようですから・・・。
共同文書の興味ある部分を過去記事と絡めてご紹介します

☆共通の目標
2p2us2.jpg脅威認識
「安全保障環境によってもたらされる課題に継続して取り組む必要性を認識した。これには,地域における軍事能力及び活動の拡大,北朝鮮の核・ミサイル計画及び挑発的行動,非伝統的な安全保障上の懸念の顕在化並びに宇宙,公海及びサイバー空間などに対するその他の変化する脅威が含まれる」
周辺国との関係の共通目標
「豪州及び韓国の双方のそれぞれとの間で,三か国間の安全保障及び防衛協力を強化する。」
日本,米国及び中国の間の信頼関係を構築しつつ,地域の安定及び繁栄における中国の責任ある建設的な役割,グローバルな課題における中国の協力並びに中国による国際的な行動規範の遵守を促す」
「(アジア諸国と)開放的かつ多層的な地域のネットワーク及びルール作りのメカニズムを通じた効果的な協力を促進する。」
サイバーとResiliency(抗たん性)向上の共通目標
「我々が利益を共有する宇宙及びサイバー空間の保護並びにそれらへのアクセスに関する日米の協力を維持する。情報及び宇宙のシステムの安全を含む,死活的に重要なインフラの抗堪性を促進する」

「米国の姿勢シャングリラ」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-01
「フロノイのアジア政策授業」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-30
「中国の南シナ海進出を如何に防ぐか」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-07

☆日米同盟の強化
2p2.jpg米国の日米同盟への姿勢
QDRにあるコミットメントを再確認し,また,核技術及び戦域弾道ミサイルの拡散,アクセス拒否/エリア拒否能力並びに宇宙,公海及びサイバー空間などに対するその他の変化する脅威といった課題に対処するよう地域の防衛態勢を適合させる意図を確認した。」
抑止及び緊急対処の強化
「共同訓練・演習を拡大し,施設の共同使用を更に検討し,情報共有や共同の情報収集・警戒監視・偵察(ISR)活動の拡大といった協力を促進することを決定」
SM-3ブロックⅡAの第三国への移転は,・・国際の平和及び安定に資する場合であって,かつ,当該第三国が更なる移転を防ぐための十分な政策を有しているときには,・・・認められ得る
「日米宇宙協議及び宇宙状況監視,測位衛星システム,宇宙を利用した海洋監視,デュアルユースのセンサーの活用といった諸分野におけるあり得べき将来の協力」
サイバー空間における増大する脅威によってもたらされる課題に日本及び米国が立ち向かうための新たな方法について協議することを決意」

「地域の人道支援・災害救援分野の後方支援の拠点を日本に設置することの重要性につき一致」
「先進諸国が国際共同開発・生産を通じて,装備品の高性能化を実現しつつ,コストの高騰に対応している中,日本政府はそのような流れに対応するために現在行っている検討を促進」
情報保全についての日米協議で議論されてきたとおり,政府横断的なセキュリティ・クリアランスの導入やカウンター・インテリジェンスに関する措置の向上を含む,情報保全制度の更なる改善」

「QDRから日本は何を読む」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-02-07
「2QDRから日本は何を読む」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-01-1
「新防衛大綱とAir-Sea Battle」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-12-19

「CSBA中国対処構想」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-18

「米が共同開発の方針転換へ」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-22  
「武器輸出管理システム改善」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-03-09

「前サイバーと宇宙演習の教訓」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-01
「後サイバーと宇宙演習の教訓」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-02
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2+2gatesface.jpgまんぐーすがプレスの皆様に申し上げたいのは、今回の2+2に関し、在日米軍基地の再編(普天間移設)は「刺身のツマ」ぐらいの意味合いしか持っていないと言うことです。つまり刺身はISRであり、サイバーや宇宙であり、初耳ですが「人道支援・災害救援分野の後方支援の拠点設置」であり、武器輸出3原則にアリの一穴であり、アジアのネットワーク作りであり、アクセス拒否対応等々なのだと言うことです。(写真左はトップページ非掲載の写真。まだまし

先日読売の小川聡ワシントン特派員がRAND研究所の「中国は沖縄を先制攻撃」レポートを紹介してくれましたが、その辺りを突っ込んで本ブログも見ていただいて、正しい知識を日本国民に提供願いたいものです。

これはまだ禁句かも知れませんが、東日本大震災は神様が日本に与えた「最後のモラトリアム」かも知れませんね・・・対米関係しかり、社会の雰囲気一変しかり、節電しかり、日本人を見直すしかり、航空自衛隊松島でF-2大量喪失(操縦者の損失なく)、陸上自衛隊の最後のご奉公(恐らく、これだけ実戦的な任務の後、埋めがたい空虚感がこの組織を包むと思います)

それにしてもゲーツ長官の顔が怖い! 漏れ聞こえてくる米側担当者の言葉も辛辣!
追加、それにしてもシンガポールとの間でも取り決めが出来た「人道支援・災害救援分野の後方支援の拠点を日本に設置」とは何でしょうね・・・震災の時は空母も助けてくれましたからね・・
「米国の姿勢シャングリラ」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-01

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fj197099

報道ベースの話としては、「人道支援・災害救援分野の後方支援の拠点を日本に設置」とは南西諸島の下地島空港をそのような後方支援の拠点とするということを意味しているようです。北澤防衛大臣はそうした構想をこれまで何度か話してきています。当然、意図としては中国の反発を招かずに有事転用可能な施設整備を行いたいということだと思いますが。
by fj197099 (2011-06-23 20:15) 

まんぐーす

コメントありがとうございます。
なるほど・・・東日本、又は太平洋側の中国が貴重な弾道ミサイルを使用して目標にしないエリアかと思いましたが。
下地島は最初の目標になりそうで・・・個人的にはお奨めできませんね。
by まんぐーす (2011-06-24 19:53) 

fj197099

ちなみに下地島空港は現在民間ジェット機パイロットの訓練施設としてのみ使われていますが、聞くところによると昔(沖縄返還前)、政府と当時の屋良朝苗琉球政府行政主席との間に交わされた「屋良覚書」なるものが存在しており、これが下地島空港の軍民共用化を阻んでいるそうです。この効力が今でもあるのか知りませんが、いずれにせよ今の民主党政権では地元の反発を越えてどうこうするのは難しいと思いますが…。それにもちろん、A2/AD対策をどうするかも問題ですね。
by fj197099 (2011-06-24 20:51) 

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