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初代米アフリカ軍司令官の回想 [Joint・統合参謀本部]

Ward africa2.jpg初代の米アフリカ軍司令官として3年以上勤務し、3月に退役するワード陸軍大将(Gen. William E. Ward)のインタビュー記事が米国防省HPに掲載されました。
植民地化の手先」とか「米外交軍事化の先兵」などと陰口を言われ続けた厳しい3年半の勤務だったようですが、新たな米軍の役割を模索した様子を、ご本人の「回想インタビュー」からご紹介します。

なお米アフリカ軍では、他の地域コマンドと全く異なる組織と人員配置を行っており、司令官は軍人ですが、副司令官は国務省の官僚、その他主要ポストに米国際開発庁の職員を配置する等、軍事作戦よりも統治の安定や経済の振興を促進をにらんだ布陣となっています。担当範囲は、アフリカ大陸の54カ国内、エジプトを除く53カ国となっています。

「米アフリカ軍からの情勢報告」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-08-14

アフリカ軍の目的・目標は
wardafrica4.jpg●地域の同盟国等が治安機関を創設し、それがプロ意識と一体性を持って行動し、また地域横断的な脅威に対峙、対抗、抑止、退治する意志と手段を持つことを支援する
●また、アフリカ大陸横断的な、国際的な平和構築努力を支える能力強化を支援する。

批判や先入観との戦い
●アフリカ軍はその発足時から、米国内の「米外交の軍事化」との批判やアフリカ大陸諸国からの「新たな植民地施策だ」との批判に対応することから始まった
●我々は私以下、副司令官や主要スタッフを各地に派遣し、大陸各国の統治や開発を支援するためにおり、特定の計画を進めるために存在するのではないと伝えて歩いた。
●米外交の軍事化ではなく、国務省や国際開発庁の計画を推進するためにいるのだと。
●また、我々が語るよりも、まず耳を傾けることを重視した。

地域の枠組みを見守りながら
●アフリカ軍は、まず1対1で、次に各地域と、そして最後に大陸全体との協力関係で仕事を進めるよう目標を掲げた。
●アフリカ内の地域組織や経済コミュニティー、その軍事組織を通じて活動することが極めて重要であることを学んだ。
●例えばその枠組みは、以下の3つで、最終的にはAfrican Union
Economic Community of West Africa States
East African Community
Southern African Development Community

最も重要な手段は
wardafrica3.jpgIMETプログラム(International Military Education and Training program)であろう。
●各国軍の士官や下士官が米国に滞在し、米国人と共に暮らす中で米国を理解し、軍事を学び、民主主義の中での軍を理解する非常に有用なプログラムである。
●またエジプト、ケニヤ、コートジボアールで実施している教育訓練プログラムの拡充も議会に要望したところである。軍が国民を守る役割を持つことを理解してもらうことが重要。

国務省の外交方針に沿って
国務省の外国政策に沿って業務を進めていることを強調し、スタッフの配置もそのようにしている。
省庁の枠組みを超え、アフリカ軍所属の職員は共に行動して良い成果を生み出しており、アフリカでの活動状況はワシントンの各省庁の本部にも伝えられて良い影響を与えている。
●アフリカ軍は他の地域コマンドとは全く異なる仕組みと役割を持っている。我々の働きは、危機に対応して活動するよりも、危機を防止することに作用するモノであろう。
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HamEROP.jpg後任者は、現在欧州米陸軍司令官のハム大将(Gen. Carter F. Ham)の予定です。左写真のように白人です。前任のワード大将が明らかにアフリカ系で、余人を持って代え難く、3年以上もの長期勤務であったことを考えると、米国も一つの正念場かも知れません。
スーダン南部の独立に「ジャスミン革命」以来の統治システムの変革・・・

ワード大将のインタビューで名前が出た要警戒地域は、ソマリア、北アフリカのアルカイダ勢力地域(マグレブ地域)、ダルフール。その他に、アフリカ全体の人身売買や麻薬と武器の不法取引が課題だそうです。

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