中国のバブル崩壊は秒読み? [経済情勢]
昨年12月31日にラジオ日経で放送され、Podcastで配信された「伊藤洋一のRound Up World Now!」から、中国経済の話題をご紹介します。
Holylandは内容の真偽のほどを判断出来ませんし、最近は中国の悪い側面を取り上げると聴取率が上昇する傾向にありますので注意が必要なのですが、極めて判りやすい分析で、そんな所なんだろうなぁー・・・と思わせてくれる解説だったので紹介します。
伊藤洋一さんは、ご存じ住信基礎研究所主席研究員で61才、結構奔放な話し方のように見えて、大人の気配りが随所にあって、安心して聞ける感じです。
大晦日の放送は恒例の「中国特集」で、中国特集の「担当」である富士通総研主席研究員の柯隆(かりゅう)さんが最新の中国情勢を解説する形で番組が進められました。
柯隆(かりゅう)氏の視点による中国経済は・・・
年末の利上げはToo Late
●11月の中国の物価上昇は全体で5%、食料品では12%に達した。最近訪中した際は、物価高に苦しむ広東省の人達が香港へサラダ油など日用品を買い出しに列を成しており驚いた。食用油の価格は中国内の方が約4割も高い状況になっている。
●中国の大部分を占める低所得者層のエンゲル係数は約60%で、食料品の急激な値上がりは極めて大きな打撃である。ただ、年間80万件と言われる各種暴動が、組織化される様子はない。
●年末の0.25%の利上げや預金準備率の引き上げ施策は、この状況への対処にはToo lateであり、効果も期待できない。利上げ等により早くも中国の株価は続落しているが、土曜日に行われた異例の施策は1月の胡錦濤訪米の環境作りの意味合いが強く、温家宝のぎりぎりの選択であったと思う。
●中国元の対ドル切り上げも行われることを見越しての株価低下は、地下の下落、マイナスの資産効果、不良債権の増加に繋がる負のスパイラルの先駆けとなる可能性が高まってきた。
●バブル崩壊の見通しは、黄色信号から赤信号に変わったと思う。温家宝は2011年当初から厳しい批判の中でも経済運営を強いられるだろう。
まだ中国産業の基礎は弱い
●2010年中国国営企業の業績が良かったが、所詮独占企業だからである。これを自由化すれば明らかに業績は低下するだろう。中国産業は成熟段階には依然ほど遠い。
●中国の新幹線や衛星技術が目覚ましいと最近話題だが、一部分野に限った突出した業績である。1970年代にソニーや松下電器が世界ブランドとしての地位を確立した時の様子とは明らかに異なる。産業の基盤やすそ野が極めて脆弱である。
●経済発展を牽引してきた広東省の日本企業を複数訪れたが、どの経営者も賃上げにより労働集約型経営の行き詰まりを指摘し、機械化による人減らしの方向にあると言っていた。中国経済の優位性が危うくなってきている。
中国に必要な改革は・・
●金融・為替市場・国営企業の改革が必要である。中国元の切り上げも市場のメカニズムに基づくモノではなく、所詮当局の管理下による見せかけの操作である。
●国有企業で言えば、例えば日本の大店法改正に当たるような流通改革も必要である。中国の地方行政府による他地域の流通業者を閉め出す等の閉鎖的な姿勢も何ら変化がない。
●自動車が年間1800万台購入されたが、それに伴うインフラ整備も全く不足している。13億人を支えるには、東京のような鉄道網の整備も不可欠であろう。
対日強硬派の習近平も調整型リーダー
●戦争を指揮した指導者と異なり、強力な力を持たない胡錦濤も江沢民も調整型リーダーである。胡錦濤は江沢民の一派を押さえつける力の無いまま、今日までバランスを見ながら政権を運営をしてきた。
●江沢民が国内旅行する際、いまだに胡錦濤と全く同じ待遇を受けている。ちなみに習近平は年末にドイツを訪問した際、メルケル首相に江沢民の著書を贈ったそうである。
●対日強硬派の江沢民派と言われる習近平も、難局にあっても強力な施策を打ち出すことは容易なことではない。胡錦濤には江沢民という小姑がいるが、習近平は胡錦濤と江沢民という2人の小姑を抱えることにある。
●ノーベル平和賞を巡る中国の大人げない態度も、何とも言えない不安感にさいなまれる中国指導層の心中を映しているとも言える。
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それでも・・・中国に関するポジティブな様子も多く観測されています。何とっても若者のどん欲な姿勢・・強烈な上昇志向・・・勿論それが国としての発展にどのような形で影響するのか貢献するのかは別問題な側面もありますが。
どこの国でも強力なリーダーシップが求められているようですが・・・その望みが叶わない場合、押しの強さが最後には問われるのでしょうか・・
柯隆(かりゅう)氏の分析過去記事
「Google撤退は業績不振で」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-28-3
経済情勢カテゴリー記事は
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/archive/c2300599392-1
Holylandは内容の真偽のほどを判断出来ませんし、最近は中国の悪い側面を取り上げると聴取率が上昇する傾向にありますので注意が必要なのですが、極めて判りやすい分析で、そんな所なんだろうなぁー・・・と思わせてくれる解説だったので紹介します。
伊藤洋一さんは、ご存じ住信基礎研究所主席研究員で61才、結構奔放な話し方のように見えて、大人の気配りが随所にあって、安心して聞ける感じです。
大晦日の放送は恒例の「中国特集」で、中国特集の「担当」である富士通総研主席研究員の柯隆(かりゅう)さんが最新の中国情勢を解説する形で番組が進められました。
柯隆(かりゅう)氏の視点による中国経済は・・・
年末の利上げはToo Late
●11月の中国の物価上昇は全体で5%、食料品では12%に達した。最近訪中した際は、物価高に苦しむ広東省の人達が香港へサラダ油など日用品を買い出しに列を成しており驚いた。食用油の価格は中国内の方が約4割も高い状況になっている。
●中国の大部分を占める低所得者層のエンゲル係数は約60%で、食料品の急激な値上がりは極めて大きな打撃である。ただ、年間80万件と言われる各種暴動が、組織化される様子はない。
●年末の0.25%の利上げや預金準備率の引き上げ施策は、この状況への対処にはToo lateであり、効果も期待できない。利上げ等により早くも中国の株価は続落しているが、土曜日に行われた異例の施策は1月の胡錦濤訪米の環境作りの意味合いが強く、温家宝のぎりぎりの選択であったと思う。
●中国元の対ドル切り上げも行われることを見越しての株価低下は、地下の下落、マイナスの資産効果、不良債権の増加に繋がる負のスパイラルの先駆けとなる可能性が高まってきた。
●バブル崩壊の見通しは、黄色信号から赤信号に変わったと思う。温家宝は2011年当初から厳しい批判の中でも経済運営を強いられるだろう。
まだ中国産業の基礎は弱い
●2010年中国国営企業の業績が良かったが、所詮独占企業だからである。これを自由化すれば明らかに業績は低下するだろう。中国産業は成熟段階には依然ほど遠い。
●中国の新幹線や衛星技術が目覚ましいと最近話題だが、一部分野に限った突出した業績である。1970年代にソニーや松下電器が世界ブランドとしての地位を確立した時の様子とは明らかに異なる。産業の基盤やすそ野が極めて脆弱である。
●経済発展を牽引してきた広東省の日本企業を複数訪れたが、どの経営者も賃上げにより労働集約型経営の行き詰まりを指摘し、機械化による人減らしの方向にあると言っていた。中国経済の優位性が危うくなってきている。
中国に必要な改革は・・
●金融・為替市場・国営企業の改革が必要である。中国元の切り上げも市場のメカニズムに基づくモノではなく、所詮当局の管理下による見せかけの操作である。
●国有企業で言えば、例えば日本の大店法改正に当たるような流通改革も必要である。中国の地方行政府による他地域の流通業者を閉め出す等の閉鎖的な姿勢も何ら変化がない。
●自動車が年間1800万台購入されたが、それに伴うインフラ整備も全く不足している。13億人を支えるには、東京のような鉄道網の整備も不可欠であろう。
対日強硬派の習近平も調整型リーダー
●戦争を指揮した指導者と異なり、強力な力を持たない胡錦濤も江沢民も調整型リーダーである。胡錦濤は江沢民の一派を押さえつける力の無いまま、今日までバランスを見ながら政権を運営をしてきた。
●江沢民が国内旅行する際、いまだに胡錦濤と全く同じ待遇を受けている。ちなみに習近平は年末にドイツを訪問した際、メルケル首相に江沢民の著書を贈ったそうである。
●対日強硬派の江沢民派と言われる習近平も、難局にあっても強力な施策を打ち出すことは容易なことではない。胡錦濤には江沢民という小姑がいるが、習近平は胡錦濤と江沢民という2人の小姑を抱えることにある。
●ノーベル平和賞を巡る中国の大人げない態度も、何とも言えない不安感にさいなまれる中国指導層の心中を映しているとも言える。
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それでも・・・中国に関するポジティブな様子も多く観測されています。何とっても若者のどん欲な姿勢・・強烈な上昇志向・・・勿論それが国としての発展にどのような形で影響するのか貢献するのかは別問題な側面もありますが。
どこの国でも強力なリーダーシップが求められているようですが・・・その望みが叶わない場合、押しの強さが最後には問われるのでしょうか・・
柯隆(かりゅう)氏の分析過去記事
「Google撤退は業績不振で」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-28-3
経済情勢カテゴリー記事は
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/archive/c2300599392-1
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