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新防衛大綱とAir-Sea Battle [Air-Sea Battle Concept]

17日に閣議決定された新防衛大綱関連の論評・解説の中で、Air-Sea Battle Conceptに言及してその影響を観察している記事が出始めました。
何を今頃・・・との感は否めませんが、正しい方向性の記事ですので、中身はありませんが概要を取り上げます。

●読売19日付『新防衛大綱、マイケル・グリーン氏に聞く』
GreenCSIS.jpg米国のアジア政策の専門家であるマイケル・グリーン元NSCアジア上級部長(現・戦略国際研究所(CSIS)日本部長)が、読売新聞のインタビューに答えて、戦略的にはA評価だが、財源には難点があり、予算的にはBマイナスであるという評価を示しています。

Q:新大綱は米国との防衛協力にどう資するか
A:オバマ政権が2月に発表したQDR(4年ごとの国防計画見直し)に盛り込まれている「海軍と空軍による統合戦(Joint Air-Sea Battle Conceptのこと)」の概念は新大綱にも影響を与えたようだ
airseaBC.jpgQDRが打ち出した対潜水艦戦やミサイル防衛の強化(が新大綱に含まれていること)に加え、新大綱が掲げる日本独自の離島防衛などが相まって、日米防衛協力の強化という力強いメッセージを地域に送ることが出来る。
そして、このことにより、東シナ海や南シナ海での海洋活動を活発化させている中国は、今後の軍事計画が策定しにくくなり、日米の抑止力が高まる。中曽根内閣時の旧ソ連を念頭にした北方防衛強化と似ている

●読売19日付『転機の大綱(下)』
Ford-Class-Carrier.jpg米国はQDRで中国の拒否戦略に対し「ジョイント・エアーシー・バトル構想」を打ち出した。海と空の戦力を一体運用する考え方で、防衛省幹部は「米国の対中認識は厳しさを増し、新大綱に明確に反映させた」と話す
沖縄のF-15や陸空自衛隊のミサイル部隊を増やす。海自の潜水艦を16隻から22隻態勢に増やすのはその一端だ。「共通の脅威」という根幹を一にした新たな日米同盟の始まりである
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読売ばかりですいません。マイケル・グリーン氏へのインタビューは、ブルッキングス研究所の研究員でもある読売社員・飯塚恵子さんによるものです。
それから、もう一つ新大綱ネタです↓ (こわごわ・・恐る恐る)
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読売再び社説「陸自定員削減は不十分」
17日に決定された防衛計画の大綱について様々な報道や論評が成されていますが、19日付読売新聞が社説新防衛大綱での陸上自衛隊の扱いを再び批判しています。武器輸出3原則に関する批判とあわせご紹介します。

読売の「陸自削減」社説の概要は・・・
限られた予算の中で、真に実効性ある防衛体制を整えるには、増強する分野と削減する分野のメリハリが欠かせない。(しかし)新大綱の焦点となった陸自の編成定数は、現行の15万5千人から1000人の削減にとどまった。極めて不十分である。

taikou.jpg●自衛隊全体のバランスを考えれば、今回実現した陸自の戦車・火砲の大幅な削減に加え、陸自定員を一層削減し、海上、航空両自衛隊の定員や艦船・航空機の増強などに回すべきだった。そうしてこそ、「動的防衛力」という新概念がより明確になったはずだ。11年度以降の予算編成での是正を求めたい

陸自の組織的抵抗関連記事
「読売も社説:陸自削減を」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-11-21
「国防より組織防衛」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-11-16

武器輸出3原則の見直しは、菅政権が国会運営で協力を求めている社民党に配慮するため、新大綱への明記を見送ってしまった。残念な判断である
一方で、国際共同開発・生産が「先進国で主流になっている」と指摘し、具体策の検討を盛り込んだのは、将来の見直しの余地を残したものと評価できる。早期に実現してもらいたい

なお武器輸出3原則については、14日付「国際情報センター」記事の視点が大変参考になります。
記事は→こちらをクリック

本件に関連する米国の国防政策の変化もご参考
「武器輸出・共同開発の方針転換へ」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-22  
「武器輸出管理システム改善とQDR」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-03-09  
「QDRの「(軍需)産業基盤の強化」」→ http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-03-08

Air-Sea Battle関連記事
「Air-Sea Battleの状況」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-23-1
「CSBA中国対処構想」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-18
「2CSBA中国対処構想」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-20
「3CSBA中国対処構想」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-20-1
「4CSBA中国対処構想」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-21
「5CSBA中国対処構想」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-21-1
「6CSBA中国対処構想」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-24
「最後CSBA中国対処構想」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-30
「番外CSBA中国対処構想」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-02-1

米国防政策と最近の日本
「QDRから日本は何を読む」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-02-07
「2QDRから日本は何を読む」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-01-1

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