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NATOリスボン首脳会議 [安全保障全般]

NATOsummit.jpg19日からリスボンで開催されるNATO首脳会議は、米国の安全保障政策上の一つの大きな山といえるでしょう。先月14日にゲーツ国防長官とクリントン国務長官がNATO本部を訪れ、関係国とその下準備をしてきたところです。

18日のオバマ大統領出発に向け、16日にホワイトハウスの関係者が首脳会議の説明会見を行い、その模様を17日付米国防省HP記事が伝えています。リスボンNATO会議の模様や結果は、今週末に日本でも報道されると思いますので、その予習としてご紹介します。

駐NATO米国大使(Ivo Daalder)は本会議の目標を・・
●本会議ではNATOの新たな戦略コンセプトについて首脳レベルで話し合う。そのコンセプトは、新たな脅威と対峙するため、加盟国や周辺国がどのように協力していくかを示すモノだ。
NATO-Review.jpg米側からは既に、限られた資源をどのような一連の能力強化に投入するかについて提案している。それらには、アフガン作戦の能力だけでなく、21世紀の脅威を扱うサイバー防衛やミサイル防衛の能力も含まれる
●NATOの指揮や機構改革も議論の対象となる。

●またこの会議は、米露関係をリセットするチャンスと見ている。グルジア紛争後、始めてオバマ・メドベージェフで迎えるNATO首脳会議でもあるからである。「我々は本会議を、両国関係を実用的な分野での協力を新たな段階に進める機会だと見ている
●「NATO加盟国とロシアとの2国間の関係改善はここ1年で進んでいるが、NATO全体とロシアとの関係は停滞している。(この分野でも進展を図りたい)」
●協力を推進する分野は、例えば対テロ対策、海賊対処、大量破壊兵器との戦いである。

(NATO改革関連の過去記事)
「NATO改革をPush」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-14
「NATO改革にも挑む」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-12
「ゲーツ改革のまとめ」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-17

「米露が軍事交流再開」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-09-16

アフガン関連について同国防省HP記事は、「2014年の終わりまでに、アフガンの34州全てで治安権限をアフガン側に移管する事が目標」、また「我々は本リスボン会議を、アフガニスタン作戦の戦略的マイルストーンと見なしている」との大統領アフガン問題特別補佐官ルート陸軍中将(Doug Lute)の発言を紹介している程度ですが。。。

14日付米紙「ニューヨーク・タイムズ」はより細部を報じています。同紙によると、以下の計画が米側からNATO首脳会議で示される予定です。
●アフガン駐留米軍とNATO諸国軍が、2014年末までに戦闘任務終了することを目指す計画を策定した
●アフガン各地域の治安情勢に応じ、治安維持権限のアフガン治安部隊への移譲を順次開始し、東部ホスト州や南部カンダハル州など最も治安情勢が厳しい地域でも2012年末までには権限移譲を開始する。
米軍戦闘部隊は、治安権限の移乗後もしばらくアフガン治安部隊を支援できる体制を維持するが、2014年末に全面撤退する計画
gatesNATOclin.jpg戦闘部隊の撤退後も、アフガン軍の訓練などのため数万人規模の部隊は駐留を継続する。
●米政府は、既に権限移譲を始める地域の選定に着手している。
オバマ大統領は、2009年12月、アフガンへの増派計画とともに、米軍撤退を2011年7月に開始する方針を発表していましたが、具体的な撤退スケジュールが明らかになったのは初めて。アフガンには現在、約10万人の米軍が展開中です。
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米露関係については、アフガンへの陸上物資輸送ルートを確保する観点から、米は露にある程度の譲歩はやむを得ない状況だと考えられます。先週末の横浜APECでも、米露大統領の会談で地上輸送できる物資の範囲拡大が議論された模様です。

横浜APECで話題になったTPPについて、経済の枠を超えた米中のブロック経済覇権争いの先駆け、と分析する声を聞くようになりました。NATOやロシアの動きも含め、「賢者は歴史から学ぶ」の視点も大切に、世界を大きく見ていきたいモノです。

おまけ
「国防より組織防衛」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-11-16

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