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「空軍は単に飛んでいたいのか」 [ゲーツ前国防長官]

「ペンタゴンでこんな風に言って制服幹部をたしなめている陸軍は未だにフルダ・ギャップでの戦いを望んでいるのか? 海軍はまだミッドウェー海戦を夢見ているのか? 海兵隊は仁川上陸作戦をもう一度が合い言葉なのか? 空軍は単に飛んでいたいのか?(Air Force just wants to keep flying?)」

注:「フルダ・ギャップ」とは・・・・
冷戦時の西ドイツと東ドイツの国境の町フルダの地形を指す。フルダは北大西洋条約機構の軍事戦略上も重要な都市の一つであった。
この地域の渓谷は、フルダ・ギャップと呼ばれ、フランクフルトを目指すソ連軍の進撃路になると予想されており、1994年までアメリカ陸軍第11機甲騎兵連隊が駐留し、東西地上部隊の激戦地と予想されていた。

gatesDuke.jpg9月29日、3年ぶりに一般の大学(Duke大学)で卒業式以外の講演を行ったゲーツ長官は、約300人のROTC学生を主な対象としつつも、講堂外にも溢れた計約1800人の学生等聴衆に対し、軍のリーダーについて語りました
ROTC学生とは、一般大学卒業後に軍幹部へ任官することを条件に、学生生活間に奨学金を支給される制度を利用している学生のことで、学生は大学在学中も一定期間基礎訓練への参加も義務付けられています。米国防省HP記事トランスクリプト

ゲーツ長官はROTC学生に語りかけ・・・

リーダーシップについて・・
●基本的に君たちは、リーダーになるために、またどのようにしたらリーダーに成れるかを学んでいるのだ。
●8人の大統領に使え、それぞれに異なるリーダーのスタイルを見てきた経験から述べると、生まれながらのリーダーなどいない。
どのようなリーダーになるかは君たち自身に掛かっている。君たち自身の選択なのだ。歴史上、皆、日々の努力の中でリーダーとしての資質を磨いてきたのだ。
●私は君達に、常識的に上品で礼儀正しく(decency)、かつ部下に対しての敬意(respect)を持つ意識を持って組織をリードしてほしいと考えている。これらは単純で基本的なことであるが、しばしば忘れられており、私はペンタゴンで会う新しい将軍や上級スタッフにいつも言い聞かせている

本当に困難なことは・・・
●上司や同僚の中で、君たち一人だけが真に正しいと思うことを主張し続けることは大変なことだ。しかしそれが、単に人気のある前例があるやりやすいではなく、真に正しいならばその方向を追求しなければならない。階級があがれば更に難しくなるが、しかし真に正しいことに固執すべきだ。

広く学びの場を求めるべき・
●決められた軍内の教育を補強するため、「舗装道路でない」機会を求めて視野の拡大を図るべき。他の政府機関での仕事や外国との関係を扱う仕事、シンクタンクの研究員や大学院での研究もその一つであろう。
●それら全ての経験は、21世紀の軍幹部として活躍するために役立つであろう。

時代の変化に適応すべき・・
gatesDuke2.jpg●「高い適応性」こそが、君たちのような若い士官候補生が軍に持ち込むことを期待される特性である。私はペンタゴンでこんな風に言って・・(冒頭の言葉)
必要とされる任務は変化してきているし、将来も変化し続ける要求に対応し続けなければならない。空軍は無人機の使用量を増大させ、陸軍は師団中心の非機動展開型から、旅団中心の機動展開型に変化を遂げた。そしてそれらは戦時に成し遂げられたのだ。
●まもなく軍の士官になる君たちは、新たな世界で活動するために、考え方を変えて適応していく能力を決して無くしてはならない。私はこの「適応性」こそが、軍にとって最も重要な必要要素だと考えている。

自らを律していくために・・
●君たちを褒め称える人達ばかりに囲まれていてはだめだ。職務に関係のない立場から、率直に意見を述べてくれる人を持つべきである。
●私は、褒められてばかりで道を誤った人を多く見てきた。それは破滅的な悲劇である。
●(最後に)戦時に軍幹部を志してくれら事に感謝する。君たちが前線に赴く時、私と国防省は全力で、君たちが任務達成と無事帰還するために必要とするモノを提供する
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gatesMarine.jpgDuke大学のROTC学生だけでなく、ノースカロライナ州の複数の大学のROTC学生から成績優秀者のみが参加を許された本公演の最後にゲーツ長官は、「著名と言われる大学で、軍の同性愛者への現姿勢を盾にして、ROTC制度の導入を拒否している大学があるが、Dukeは違う。」と持ち上げています

同性愛者への「問わない、公表しない」との軍の基本姿勢が与える影響は、色んな所に出てるんですね・・・・。ちなみにゲーツ長官は本公演の中で、オバマ大統領の「問わない、明らかにしない」方針廃止の動きに「賛同する」と述べています。
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聞かせます!!ゲーツ長官の若者へのスピーチシリーズ

士官候補生への講演
「海軍士官候補生には・・・」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-09
「士官候補生に語るシリーズ」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-10
「空軍士官候補生に厳しく語る」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-06

学生の卒業式や少年への講演
「CIAでの失敗を高校で」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-25
「大学で「公への奉仕を」」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-12-22
「ボーイスカウトの精神を」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-07-29

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