安保・防衛懇「報告書」を見る [ふと考えること]

外交官として、ロシア、中東和平、イスラエルや朝鮮問題を専門とし担当して大使としても赴任し、国際情報局長や内閣府PKO事務局長なども歴任した茂田氏の視点を紹介します。
●その内容は現実的であり、かつ戦後日本で平和主義の考えの転換をせまる画期的なものである。防衛・安保政策上の多くの問題を扱っている。精読に値する良い報告書である。佐藤座長および白石隆副座長をはじめ、この報告書の起草を行ったメンバーに敬意を表明する。
●基盤的防衛力構想からの脱却と言う提言は、日本の防衛力のあり方をダイナミックにする利点がある。
●武器輸出3原則を修正し、国際共同開発などを容認する、見直しの判断は出来るだけ早く行うべしとしている。
佐藤総理が打ち出した武器輸出3原則はともかく、すべての武器の輸出を慎むとしてきた三木内閣以来の政策は、日本が世界で有数の武器輸入国であることに鑑みれば、偽善的なものである。この政策が世界各国から日本の平和思考の象徴として歓迎されてきたというのは、私から見るとほとんど虚偽に近い言説である。防衛力の基盤維持の見地、外交の自由度増大の見地からも、歓迎される提言である。

的を射た指摘である。非核3原則の法制化が何故不都合なのかが明らかにされている。
●集団的自衛権についても、具体的な状況を想定した上で解決策を検討すべしとしている。これは対米関係上も重要問題である。
この問題については、安倍内閣で柳井元外務次官を座長とする研究会が組織され、その報告書が福田首相に提出された。福田首相はその報告書に冷たい姿勢をとった。麻生内閣は解釈変更を行う予定であったが、選挙後に先送りし、選挙では、政権交替になってしまった。
この問題は政変で影響を受けてきたが、既に結論を出すべき時期に来ている。今回の報告を受け、政府首脳が決断を行う環境ができたと言えよう。
●PKO参加5原則を見直すべしとの提言も時宜を得ている。
この5原則は日本のPKO参加を阻害する要因であった。私はPKO事務局長をしていたが、派遣に際して内閣法制局がこの5原則が充足されているか否かについて現地情勢を無視する議論を展開して困ったことがあった。
法制局もその職務を果たそうとしていたのであるが、参加5原則の見直しなしでは、十分な国際貢献を行い得ないことは既に明らかである。
●日本の安保政策策定についての新しいメカニズムの構築を打ち出しているのも重要である。

この報告書の提言の実施は日本の今後にとり大きな意味を持つと考えられる。国民的議論の材料にする価値のある報告書である(以上が茂田氏の評価)
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自民党時代にも同様の懇談会があり報告書が提出されましたが政権交代でお蔵入り・・・仕切り直しの民主党政権での懇談会でも同様のラインの結論が出たことで現内閣の姿勢が問われるところです。しかしなぁ・・あんまり期待しても・・・。
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by フォン・すー (2010-09-03 11:26)