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Air-Sea Battle Conceptの状況 [Air-Sea Battle Concept]

注意!! → Holylandを防衛研究所の菊池茂雄氏や高橋杉雄氏と勘違いしている人がいますが、間違いです。大変迷惑しています。「はてなアンテナのvon-mansteinさん」は訂正をお願いします。

CSBAと「Joint Air-Sea Battle Concept」の関連記事一覧はこちら

Anti-Access2.JPGQDRの発表以降、小うるさい「ハエ」のようにお伝えしてきた、米海軍と米空軍が策定中の対中国新コンセプト「Joint Air-Sea Battle Concept」(以下JASBC)について、現時点までにネット上に公開されている事項をまとめてみます。  
左の図はKrepinevichの第1段論文「Why AirSea Battle?」より


まず、なぜこのコンセプトを何度も取り上げてきたかというと・・・
第一列島線より遠方から(東側から)作戦可能な兵器群(QDRでは長射程の巡航ミサイルや空母搭載無人機、無人潜水艦等々が検討対象と表記)を中心に据えようとしており、最終的な姿によっては日本の防衛戦略に甚大な影響を与えるものだからです。在日米軍の空洞化など・・

復習JASBCとは・・・QDRの記述より
●Anti-accessとArea-denial(以下、A2/AD)能力を備える敵を含む相手を撃破するコンセプトで、米海空軍が協力して策定中。空軍と海軍アセットを中心に検討中。洗練された拒否能力を持つ敵対者に対抗するため、空軍と海軍の持つ、陸海空宇宙サイバー全ての領域にわたる能力を使用するコンセプトであり、米国の行動の自由を確保し、今後の能力開発の指針となるもの。

本コンセプト検討の発端
MarshallADRW.jpgKrepinevich.jpg●アフガンとイラク対応に加え、厳しい経済状況の中で中国の軍備増強への対応を苦悩していたゲーツ国防長官に、国防省ネットアセスメント局長アンドリュー・マーシャル(90歳:Andrew W. Marshall 写真左)がJASBCの検討を進言する。このマーシャルなる人物、なんと1973年にニクソン大統領から指名されて以降、継続してこの職務に就き、各種政策提言の他に多くの人材(チェイニー、ラムズフェルド、ウォルフビッツ等々)を育てたことで有名。別名「スターの後見人」
JASBCをマーシャルに提供したのは、同アイディアを20年以上温めてきたシンクタンクCSBA(Center for Strategic and Budgetary Assessments)の理事長であるこれまたアンドリュー・クレピネヴィック(Andrew F. Krepinevich 写真右)
●CSBA理事長はQDR発表直後の2月19日、CSBAサイトに「Why AirSea Battle?」との論文を発表。JASBCに関する論文の第1弾として、「中国とイランが米国のパワープロジェクション能力にどのような挑戦をしているか」を説明している。
●CSBA理事長は、「このような挑戦をオフセットする選択肢について第2弾の論文で米国の指導者に提言する予定」と述べている。

第1弾論文の気になるところ
WhyAIRSEA.jpg●中国(イランはまだまだ初歩段階だが)のanti-accessとarea-denial(以下、A2/AD)努力は米国指導者に対して、経済的発展に欠かせない地域へのアクセスが拒否されることを黙認するか、鍵となる同盟国やパートナー国に効率的な支援を行って、彼らが侵略や浸食から自らを防衛できるようにするかの第一級の重要な選択を迫るものである。
●紛争の初期段階で中国軍は、米軍の地域における戦力投射基盤である嘉手納基地や(最終的には)グアム・アンダーセン基地に対し、弾道ミサイルの波状攻撃を行い、空軍機の連続侵攻がこれに続く。米水上艦艇には対艦弾道ミサイルや巡航ミサイル、更に潜水艦の魚雷が指向される。
●これら中国軍の攻撃を生き延びたとしても、対衛星兵器やサイバー攻撃により、米軍のよりどころであるネットワークは分断される。
中国は、上記のようなAnti-access戦略で、米国が同盟国を防衛するコストをつり上げることにより、米国の同盟国防衛の義務遂行を抑止する。そして大東亜中華共栄圏に向けた環境を整える。

米海軍と空軍の取り組み
schwa2.jpgroughead.jpg昨年9月末に海軍作戦部長と空軍参謀総長がJASBC策定の覚書にサイン。両軍トップは多くを語らないが、覚え書きにはあまり細部は規定されていない模様。
●海空軍からそれぞれ4名づつ、計8名の大佐が検討チームに差し出され検討開始
●昨年11月頃、同検討チームは関連地域軍を回って現場の意見を聴取した模様。今後10~20年間を見通し、ハイエンドの戦いで何が起こりうるか等を聴取。どのように海空軍アセットを組み合わせてより良く戦闘力を発揮するか、耐久力を持たせるか、機動性を確保するか、現状で何が足りないか等々に関心を持つ。
両軍トップも強い関心を寄せている(第1弾論文発表以降、海空軍内で議論が活発化している模様)。シュワルツ空軍参謀総長は「これはwin-winの検討だ。現世界の脅威と予算制約を考えれば、海空軍共通の課題が個別の課題よりも多いはずだ」、また「両軍がそれぞれの作戦指揮所をどのようにIntegrateするかなどが課題であろう。」
海軍トップのロウグヘッド作戦部長は「素晴らしいスタートだ。明らかに協力の余地がある。無人機の運用もその部分だ。海軍もグローバルホークを運用しようとしている所であるし。」

第1弾論文発表以降、「DefenseTech」など有力軍事ウェブサイトが取り上げていますが、論調としては「中国がミサイルで来るなら、米国も近づいて怪我するより遠くからミサイルや無人機で対応するのがいいんじゃない!」てな具合です。
「同盟国と協議し、resiliency向上に予算を付ける」とのQDR記述もありますし、日米同盟「深化」の協議も22日ワシントンであったみたいですし、益々注目です。

Krepinevichの第1弾論文は「嘉手納ほか沖縄は極めて脆弱」との論調ですが・・・・・Holylandの疑問→本当に米は沖縄に海兵隊のプレゼンスが必要と考えているのか??? 抑止力になっているのか?? 
米の普天間へのこだわりは、他の妥協を日本から引き出すための交渉の道具にするためではないか?? 第2弾論文を待ちましょう。

Air-Sea Battle関連記事(第2弾論文)
「1/2米中衝突シナリオを基礎に」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-12-28
「2/2米中衝突シナリオを基礎に」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-12-28-1
「補足米中衝突シナリオを基礎に」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-12-28-2

「CSBA中国対処構想」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-18
「2CSBA中国対処構想」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-20
「3CSBA中国対処構想」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-20-1
「4CSBA中国対処構想」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-21
「5CSBA中国対処構想」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-21-1
「6CSBA中国対処構想」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-24
「最後CSBA中国対処構想」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-30
「番外CSBA中国対処構想」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-02-1

「Air-Sea Battleの起源」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-24-1
「新防衛大綱とAir-Sea Battle」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-12-19
「太平洋軍のAir-Sea Battle検討」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-08-05
「対中へミサイル原潜増強」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-07-10
「Air-Sea Battleとミッドウェイ68周年」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-08

「前対中国で北東から南東アジアへ」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-01-03-1
「後対中国で北東から南東アジアへ」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-01-04
「グアム基地を強固に」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-12
「嘉手納基地滑走路の強化」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-09

「久々にAir-Sea Battle」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-16-1
「レビン提言とAir-Sea Battle」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-14-1


「嘉手納から有事早々撤退?」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-13
「ゲーツ長官が国防省と議会にも宣戦布告」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-09

「(Ver.2)QDRから日本は何を読みとるべきか」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-01-1
「QDRから日本は何を読みとるべきか(Ver.1)」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-02-07
「どんな兵器を:Anti-Access環境対応」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-03-04
「Anti-Access環境への対応コンセプト」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-03-03

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