QDRから日本は何を読みとるべきか(Ver.1) [安全保障全般]

しかし、日本の立場から考えた場合、もう少し視点を限定して注目点を絞る必要があると考えます。以下では、日本に影響や変化を求めるであろう部分を以下の3つの視点から考察してみたいと思います。
1●米の対中国作戦にどう関与するのか(「Anti-access」環境でどう米と共同するか)
2●在日米軍基地施設の抗たん性・弾力性(resiliency)向上にどう協力するか
3●米の共同開発・技術協力への呼びかけにどう答えるか
ただし、QDR発表から1週間あまり、未だ読み込みが不十分なところもあり、本日は(Ver.1)とし、新たな点に気づいたら修正・加筆していきたいと考えています。
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1●米の対中国作戦にどう関与するのか(「Anti-access」環境で米と如何に共同するか)「米の対中国新作戦は「Joint air-sea battle」」
→ http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-02-05

その対処のためQDRでは概要以下のような能力整備を提言しています。
長距離攻撃兵器 → 潜水艦発射型長距離兵器、海空共用巡航ミサイル
無人偵察・攻撃兵器 → 空母搭載型の無人偵察攻撃機、無人潜水艦、空軍爆撃機の後継兵器、(無人)電子戦兵器、
ゲーツ国防長官は「Anti-access」環境では「足の短い戦闘機から長距離攻撃システムへ」の重点シフトの必要だと説いています。このような方針下での「相互協力的で、個々の地域に仕立てた防衛態勢」とはどのようなものになるのでしょうか。このような方針を掲げた米軍との日米共同で、日本はどのような役割を担うかについて真剣に考える必要がありそうです。
2●在日米軍基地施設の抗たん性・弾力性(resiliency)向上にどう協力するか

積極防空については、これまで自衛隊が国防政策として取り組んできたエリアですが、C4ISRと基地施設の抗たん性・弾力性(resiliency)や対諜報に関してはあまり話を聞きません。つまり全体として「Anti-access」環境の中では日本はまだまだ考えるべき所があります。
そんな中、これまで「Anti-access」環境など考えなくてもよいほどに圧倒的な行動の自由を謳歌していた米軍が抗たん性・弾力性(resiliency)との言葉を使い始めました。
そしてその文脈で「Cooperative」や「Collaboratively」や「with allies」との表現が多用されており、同盟国への費用負担要請を強くにじませています。
思いやり予算のあり方が問題になっていますが、それよりも大きな本丸が迫ってきているような気がしてなりません。
3●米の共同開発・技術協力への呼びかけにどう答えるか

自己批判の背景には、まず厳しい財政状況から米国のみでは種々の開発計画を維持できないこと、もう一つはQDRの主要論点である外国治安機関や外交部隊の育成のため、装備品や兵器を供給しなければ追いつかないからだと思われます。
共同開発(他国や民間との)推進はオバマ大統領の強い意向をも反映したもののようで、今後真にコアとなる部分の開発に米国は集中し、その他の部分は各国と共同で開発を進めたい模様です。
QDRと一連のBMDR(弾道ミサイル防衛見直し)の中で、日本がSM3のBlockⅡ開発に協力していることが「絶賛」されていますが、これは裏を返せば更なる協力要請であり、他の分野への協力拡大要請に他ならないと思います。
「武器輸出3原則」の見直しに関する発言が北澤防衛大臣や経団連首脳からあり、社民党が「噛みつく」構図が最近見られましたが、更なる議論の進化や殻からの脱却が求められる次期に北とも言えましょう。

自衛隊の基地を地下に埋めろ、山に埋めろ
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