無人偵察機ビデオ情報漏洩の背景 [米空軍]


(1)無人機運用の急増

そしてこの急増の背景には、「アフガニスタンで、輸送や偵察任務のために前方拠点から兵士が外へ出る際は、彼らの出発から任務終了までの間、我々が上空から監視し続ける」と米軍幹部が言い切るほどの濃密な地上部隊支援態勢があります。
更に、敵の監視といった受動的なものだけでなく、能動的な攻撃にも活用の範囲が広がっています。それは無人機リーパー等が直接実施する攻撃だけではなく、無人機が支援する地上攻撃の増加にも繋がっており、全てに無人機が関わっていると言っても過言ではありません。
(2)近接航空支援(CAS)への懸命の取り組み
イラクやアフガニスタンで行われている対テロ地上作戦を、空軍としてどのように支援するかは大きな課題でした。
特に09年5月にマクリスタル新司令官がアフガニスタン作戦の指揮官に着任以後、住民に被害を及ぼす可能性のあるCASを厳しく精査した結果、CASの要請がリスクの大きい空軍機から陸軍の攻撃ヘリや無人機リーパーへ向かうようになって以降は尚更です。
この状況に危機感を持った空軍は、近接航空支援能力の向上に懸命に取り組んでいます。

例えば同センターに所属する561統合戦術隊は、頻繁にイラクやアフガンを訪れ、現場部隊から問題点を聞き取ります。そして教訓や問題点等は同センターの教育に反映されると共に、陸軍や海兵隊とも共有されます。更に教訓を(空軍内の)ウェッブサイトで公開することにより情報共有の迅速化を進め、当該サイトを空軍内の人気サイトにしたとのことです。
最近の同センターの取り組みの中には、長距離航空阻止任務用に開発されたストライクイーグルF-15Eを、ISR任務や近接航空作戦に活用する研究も含まれています。他にも、重要移動目標の追尾法、爆弾をスキップさせて敵が潜むトンネル奥深くに送り込む手法、人口密集地域で被害を局限して爆撃精度を上げる方法等の研究にも取り組んでいると報じられています。

最近もグアムを発進した3機のB-52が、豪軍のJTACと連携して豪大陸の演習場でCAS訓練を行うようすが紹介されています。
Jane’s Defense Weekly誌11月4日号は近接航空支援の技術面での特集を組み、アフガニスタン住民への被害局限を目的とした新型装備の迅速な開発や配備の状況を紹介しています。

また将来を見据え、ターボプロップの軽攻撃・武装偵察機プログラムを2010年予算に計上していることや被害局限を図るためのレーザー兵器の開発に国防省と軍需産業が取り組んでいることにも触れています。
先端技術のデュアル・ユースが進むことで、ハイテク技術を使うのは先進国だけではなくなりました。まさに「ハイブリッドな戦い」です。
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